元体育会系教師がリコーダーで奏でる思い出

独学で600曲習得、退職後に病院などで演奏会

ソプラノリコーダーで歌謡曲を演奏する大島利徳さん=2018年12月、福井県福井市の下森田区民会館(写真:福井新聞)

第二の人生はソプラノリコーダーで歌謡曲――。元教員の大島利徳さん(59)=福井県福井市=が2018年4月から病院や公民館、老人施設などを回って、リコーダーを演奏している。多くは流行曲で、参加者は笛に合わせて思い出の曲を口ずさむ。演奏会の後半では大合唱になることも。大島さんは「多くの人にリコーダーの澄み渡る音を届けたい」と話している。

レパートリーは約600曲

大島さんは学生時代は野球部に所属。教員になってからは中学校のソフトテニスの顧問として県大会で優勝に導くなどどちらかと言えば“体育会系”の経歴を持つ。

一方で、小学3年生のときからリコーダーが好きで、家でテレビコマーシャルのメロディーを再現するなどして腕を磨いた。長く仲間内で披露する程度だったが、転機が訪れたのは1993年。友人に頼まれ結婚披露宴で「ここに幸あり」を演奏した。会場が大合唱になり「日本人が好きな音なんやな」と感動した。以来、学校の文化祭など人前で披露するようになった。

2017年3月に退職し、今後の人生を考えていたとき、リコーダーのことを思い出した。「笛を吹けば、みんなが喜んでくれる。これをやろう」。2018年4月から演奏会を開くようになり、これまで30カ所以上回った。福井市の福井赤十字病院では第3金曜日に演奏会を開いている。

楽譜が読めず音で覚えるしかないが、レパートリーは約600曲に及ぶ。音響機器を準備しカラオケの曲を流しながら、マイクを通して演奏する。2018年12月10日に福井市の下森田区民会館であった演奏会では、70~80代の高齢者ら約30人を前に「矢切の渡し」「また逢う日まで」など約10曲を披露。後半の「瀬戸の花嫁」や「北国の春」は大合唱になった。

参加した女性(80)は「子どもが学校で使う笛で、あれだけの音を出せるのには感心した。知っている歌ばかりで楽しめました」と満足していた。

気温などによって微妙に音が変化するため、会場には4本のリコーダーを持ち込み、その日の一本を選ぶ。椅子に座り、ひざにひじを固定し、目を閉じて演奏する。「姿勢が悪い」と言われることもあるが「この体勢じゃないと良い音が出ない」とこだわる。

大島さんは「リコーダーの音色はもちろん、演奏に合わせて歌を口ずさむ心地よさをたくさんの人に味わってほしい」と話している。

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