「カラスはかわいい」と断言できる意外な生態

25年間カラスを観察した研究者が語る魅力

松原:それから、鳩は鏡をみて「これは自分だ」とわかるんです。鏡に汚れをつけておくと、鏡に映った自分を見て、「あれ?汚れている?」と毛づくろいを始める……という実験データがあるんです。でも、カラスはできません。鏡をみたらすごい勢いで喧嘩を売っちゃう。そういう意味では、ちょっとヤンキー気質かもしれないですね(笑)。

夏生:夕方ごろに山の上などでカラスが大量に飛んで鳴いていることってありますよね。あれは何でしょうか? なんだか不吉な感じがしてしまうのですが。

松原:そういう山は、彼らの「ねぐら」ですね。それで、みんなを呼び集めるために鳴いているんでしょう。他の鳥も同じようなことをします。夕方にピイピイ鳴いて大群を作ったり、一斉に飛び立ったり、ぐるぐるとまわっていたりするときは、「はやくこっちに来い」「もっと集まれ」ということだと思いますね。

夏生:(よかった!別に死体が埋まっているわけではなかった!)。長年、気になっていたことが解き明かされてスッキリしました! では松原先生が、いま一番解き明かしたいことってなんですか?

松原:そうですね……。僕たちは、街の景色に当然のようにカラスがるのを当たり前だと思ってますよね。でも、街中にこれほどカラスがうじゃうじゃいるのって、日本だけなんです。

ハシブトガラスは南アジアからロシアまで生息していて、ハシボソガラスはユーラシアに広く分布します。つまり台湾や韓国なんかは環境も近そうなのに、街中に住み着いているのは日本だけ。タイでもベトナムでも、「街では全然見ない」と。

夏生:不思議……。どうして日本だけなんでしょうか。

松原:不思議ですよね。少なくとも江戸時代には、すでに住み着いていたことがわかっています。江戸の末期には、ものすごく人に慣れていたとも。一体何が違うのか。森もゴミもある国なんて他にもあるのに。これはなぜなのかものすごく知りたいですね。

カラスはとってもきれい好き

夏生:今日色々とお話を伺って、カラスって怖くないんだなぁということがようやくわかったのですが、やっぱり世間のイメージに対して、「違うのにな」と悲しく思うこともありますか?

松原:しょっちゅうです。もうちょっとカラスの魅力が伝わればいいなと思っています。

取材中もたくさんのカラスが水浴びをしていました(写真:幻冬舎plus)

たとえばカラスは「汚い」というイメージですが、彼らは結構きれい好きですよ。毎日最低1度は水浴びをしています。餌を食べた後は必ずくちばしを磨きますし、ゴミを食べた後は頭を突っ込んで顔を洗うので。

カラスって、じっくり見てみると本当に面白いんです。だからまずは、30秒ながめてみてほしい。その間に、絶対変なことを1個くらいやりますよ。かわいいことか、間抜けなこととか(笑)。例えば電線の端から足を踏み外したり、ね。ぜひもっと多くの人に好きになってほしい、と思っています。

夏生:たしかに今日見ていただけでも、いろんな姿を見ることができました。これからはカラスを見つけたら、もうちょっとじっくり見てみます。

ちなみにここからは余談になるのですが、松原先生はカラス以外にハマったものはありますか?

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