金のため内縁妻の長男殺した69歳男の身勝手

相続トラブルが招いた残忍な「逆恨み」

殺害されたAさんは1959年に、Bさんと当時の夫との間に産まれた長男だった。ところが14年後、Bさんは高橋被告と同棲を始める。さらに15年が経って、Bさんと当時の夫との離婚が成立した。だがBさんと高橋被告は、籍を入れずに約40年、一緒に暮らしてきた。これが今回の事件を生んだ元凶だともいえる。

事件までの経緯

高橋被告とBさんは生活を共にするなかで、茨城県に不動産を購入。3軒のうちの1軒に高橋被告とBさんが住み、2軒を賃貸物件として貸し出し、月10万円の家賃収入を得ていた。この土地建物の名義はすべて高橋被告ではなくBさんだった。昨年4月にBさんは病死したが、内縁関係であるため高橋被告に相続権はない。

【弁護側冒頭陳述】
「Bさんとは40年間、一つ屋根の下で暮らしてきた。Aは毎年のように2人のもとを訪ね、Aの家族と皆で旅行にも行ったことがある。血はつながっていないが、被告はAさんを『せがれ』だと思っていた。
左官として働いていた被告は、しっかり者のBさんに収入を預け、3軒の家を建てた。仲良く一緒に暮らせれば十分、と家の名義に無頓着だったが、昨年Bさんが亡くなり、問題点に気づいた……。
家の名義はすべてBさん。月6万円の年金収入しかなく生活が不安だった。遺産の中に自分が働いたものも含まれている、それはAもわかっているだろう、半分ずつにできないか……と。『おれが死ぬまででいいから、家賃をくれないか?』と聞くがAは明確に返事をしなかった……。その後、電話をしても折り返しがなく、しまいには電話に出てくれなくなった……」

高橋被告はBさんの葬儀の席で、Aさんに『家賃をくれないか?』と切り出した。だが明確な返事はなく時間は過ぎた。四十九日で顔を合わせた際、再び家賃の話を持ちかけた。だが、Aさんは「考えさせてくれ」という返事。そのまま時間が過ぎた。

こうしたAさんの態度に、高橋被告は失望していたようだ。

「女房名義でそのままにしていたのが間違いだとその時に気づきました。相談した人にも『せめて籍でも入れときなさいよ』と何度も言われていました。それでも今回みたいに、根こそぎ持っていかれるようなことはないだろうと信用していました」と、被告人質問で語る。

Aさんからは連絡がないまま時間だけが過ぎ、その後の生活への不安が募る。昨年10月ごろにはその不安がピークに達したのか「昼間から酒なんて飲まなかったのに、飲むようになりましたね」と生活が荒れ始めた。さらにこの頃「電源をつなぎっぱなしだったチェーンソーのスイッチを入れたら動いたんで、その拍子に、何か知らないけど家壊したくなって、柱に傷をつけました」と、住んでいた家の柱の半分ほどを、チェーンソーで傷つけボロボロにしたという。

次ページ日増しにAさんへの憎悪を募らす高橋被告
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