金のため内縁妻の長男殺した69歳男の身勝手

相続トラブルが招いた残忍な「逆恨み」

相続トラブルで金のために殺害したのは身勝手すぎる行為だ(写真:redstallion/iStock)
すべての「家族」が仲良く、手を取り合って暮らせるわけではありません。なかには親子やきょうだい同士で激しく憎しみ合い、争いの末、裁判や事件にまで発展してしまう家庭もあります。本連載では長年、傍聴ライターとして活動し続ける高橋ユキが、裁判の傍聴を通じて「現代の家族が抱える問題」に焦点を当てます。

今年2月23日、埼玉県新座市で男性会社員のAさん(当時58)が自宅前で何者かに刺され、搬送された病院で死亡した。翌日未明にAさん殺害容疑で逮捕されたのは、茨城県稲敷市に住む無職の高橋秋男(69)。自宅から約50キロ離れた漁港に車を停めていたところを警察官に発見された。

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この事件で殺人と銃刀法違反の罪に問われた高橋被告に対する裁判員裁判は、今年11月にさいたま地裁で開かれた。逮捕当初、高橋とAさんは知人同士であり、金銭トラブルが存在していたと報じられていた。だが公判で、この金銭トラブルというのは、被害者にまったく非のない、高橋被告の一方的な要求だったことがわかった。

「恨みみたいなものもあった。今も、多少ありますね。あんたが対応してくれれば、こういうことにはならなかったんでしょ、っていうの、ありますから!!」

自分が殺害した相手に対し、事件から約9カ月が経ってもなお、こんな恨み言を法廷で叫んでいた高橋被告。被害者とは、知人以上家族未満の微妙な関係にあった。

被告が殺害したのは「内縁の妻の長男」

ずんぐりむっくりした体型に、上が黒、下が薄いグレーのジャージ。官品なのか、ズボンの腰部分には『M』とサイズが書かれた布が縫い付けてある。洋服を差し入れる家族や友人がいない証拠だ。「間違いありません」と認めた起訴事実はあまりにも陰惨だった。

事件当日の夜、Aさん宅の敷地内で物陰に隠れ待ち伏せ、帰宅してきたAさんに向かって、持っていた鉈(ナタ)で頭部と右肩を切りつけたのち、さらに包丁に持ち替え、顔面を切りつけ、後頭部や上背部を刺し殺害したのである。

高橋被告がそこまでの凶行に及んだ背景には、Aさんが相続した遺産があった。公判でわかったのは、Aさんの母親が高橋被告の内縁の妻・Bさんだったことだ。

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