「インフルエンサー」の商品PRに潜む落とし穴 フォロワー数だけしか見ないプロモは逆効果

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広告塔としてインフルエンサーの価値は、単純にフォロワー数だけでは測れません(valentinrussanov/iStock)

数々のニュースが流れた2018年ですが、小学生のなりたい職業に「ユーチューバー」が急浮上したことは子どもを持つ親を少なからず動揺させたのではないでしょうか(日本FP協会調べ)。自分の世代にはなかった職業が子どもたちの憧れになっているのだから無理はありません。

しかし、若者が見つめる先にいるのはテレビではなくスマートフォン上で毎日のようにコンテンツを配信している“彼ら”があるのだから自然な流れだと言えます。

今や若者たちのメディア接触の過半数はインターネットにシフトし、流行はメディアが作るのではなく、CGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)、つまり一般人が作っていくものへと変貌を遂げました。そのなかで、視聴者を惹き込み圧倒的な人気を誇るタレントが今“インフルエンサー”と呼ばれている、ユーチューバーや、写真共有系SNS「インスタグラム」を使ったインスタグラマーたちです。

テレビタレント以上の影響力も

“インフルエンサー”とは何者なのか、改めて定義することでもないかもしれませんが、「webやSNSを通じて世間に大きな影響力を持つ人物(もしくは人格を持つアカウント)」と定義されるでしょう。

現在、日本で1番フォロワーが多いユーチューバーは「はじめしゃちょー」で722万0612人(2018年12月15日時点)。若干26歳の青年が市場を牽引しているのです。ちなみに日本のユーチューバーだけでも約5万人を優に超えています。

一方で子どもたちが夢見る“職業ユーチューバー”はほんの一握りにすぎません。100万フォロワーを超えるユーチューバーはたったの95人。フォロワー数が1000人を超えるユーチューバーのうち、実に0.18%しかいないのです(2018年11月現在・ IPR調べ)。

一部のインフルエンサーはテレビに出演している広義に“タレント”と同じくらい、いえ、それ以上の影響力を持つ存在になっています。結果的に企業がインフルエンサーを頻繁に「広告塔」として活用するようになりました。

ユーチューバーを起用したマーケティング企画は月間300ー500本もあり、この数年は増加傾向が続いています。背景にはテレビ離れをしている若年層マーケティングへの期待があると言えるでしょう。

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