2年前発売の「AirPods」が売れ続けているワケ クリスマス商戦で最も注目のアップル製品だ

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「AirPods」はなぜ売れ行き好調となっているのか?(筆者撮影)

今年のクリスマス商戦で世界的に最も注目されているアップル製品は、どうやら最新モデルではないようだ。ワイヤレスヘッドホン「AirPods」の売れ行きが好調だという話題は、店頭やオンラインセールスのランキングなど、さまざまな場所で確認することができる。

筆者が住むアメリカ・カリフォルニア州バークレーのApple Storeの店員は、「iPhoneとAirPods、どちらがアクセサリーだかわからない」と例える。iPhoneとの間で主従逆転が起きていると感じるほど、AirPodsは店頭で売れているというのだ。

アップルはAirPodsの販売台数を公開しておらず、決算では「その他の製品」というカテゴリーで束ねられていた。そのため、Apple Watch、Apple TV、その他アクセサリーなどとの合計の売上高しか明らかになっていない。

その「その他の製品」カテゴリーは、2018年第4四半期(7~9月)の売上高は42億3400万ドルで、iPadの売上高よりも多い。成長率は前年同期比で31%増、前期比でも13%増と増加し続けている。

Apple WatchとBeats製品を含むウェアラブルデバイスの売上高は前年同期50%増となっており、AirPodsはApple Watchとともに、急速に成長しているApple製品というのだ。

TF International Securitiesの著名アナリスト、Ming-Chi Kuo氏は、2018年のAirPodsの出荷台数を2600~2800万台と見積もっている。これは昨年の倍の台数で、2021年までに1億台を突破すると予測している 。

「ヘッドホン端子」廃止の意味

AirPodsは、左右が完全に独立したBluetoothワイヤレスヘッドホンだ。2016年に発売されたiPhone 7シリーズでヘッドホン端子が廃止され、その代わりに提案されたのがこの製品だ。発売当初は非常に品薄の状態で、製造すればしただけ売れていく状況だったが、2年経った現在もそうした状況が継続しているようだ。

AirPodsは、左右が完全に独立したBluetoothワイヤレスヘッドホン(筆者撮影)

AirPodsは必ずしも、初めての完全ワイヤレスヘッドホンではない。しかしワイヤレスヘッドホンのバッテリーライフとペアリングの面倒さという問題解決を丁寧に行っていた。

1度の充電で5時間連続再生を行うことができるが、付属する専用のケースにもバッテリーが内蔵されており、音楽を聴かずに持ち歩いている間に充電が可能で、ケースと合わせて24時間のバッテリーライフを実現する。

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