新宿駅南口の雑踏で見つけた「運命のお相手」 37歳うどん店経営者には「オーラ」が見えた

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新宿駅南口でぱっと見つかった、運命のお相手とは……(イラスト:堀江篤史)

東京のオフィス街にあるうどん居酒屋に来ている。ランチタイムは終わり、夕方の営業時間前なので、店内の照明は消えてうす暗い。店に入ってすぐ右のテーブルで、メニューを描きながら待っていてくれたのは店主の下村孝男さん(仮名、37歳)。昨年の冬に結婚したばかりの晩婚さんだ。

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「本当に来るとは思いませんでした。何に載るんでしたっけ?」

缶コーヒーを片手に戸惑いの表情を浮かべる孝男さん。本連載の出演申し込みフォーム経由で筆者にメールを送ったことをほとんど忘れているようだ。そのメールにも短く「うどん屋です」と書かれてあったのみ。飲食店を経営する晩婚さんに会ったことがなかったので強く興味を持って取材依頼をした。

暗がりの中でよく見ると、孝男さんは仮面ライダー俳優のようなイケメンだ。使い古した調理白衣を着て、やや口下手なところに「掘り出し物」感が高まる。彼はどのような経緯で結婚して、その相手はどんな女性なのだろうか。今の晩婚生活はどうしているのか。あれこれ聞いてみたい。

東京で遊ぶことのほうが主目的だった

東北地方出身の孝男さんは高校卒業後に上京し、東京にある調理師の専門学校に入学した。ただし、当時は東京で遊ぶことのほうが主目的だったと率直に振り返る。

「料理をする気はあまりなかったです。毎週、渋谷や六本木のクラブで夜遊びをしていました。彼女はいたりいなかったり、です」

専門学校では料理全般を学び、就職先は都内のフランス料理店だった。そこで3年ほど働き、22歳でアメリカに渡った。ただし、料理留学ではない。

「海外に行ってみたかったんです。1年間、和食店でアルバイトをしながら英語を勉強しました」

帰国後、フランス料理店とイタリア料理の両方を経営するチェーン企業に就職。そこで料理長を経験し、フランスに渡ることにした。今度はミシュラン2つ星のレストランに入り、1年間みっちりと料理を学んだ。そして帰国。満を持して独立開業したのがうどん居酒屋である。

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