住宅ローン「一時免除」で備える被災リスク

特約を用意する金融機関が次々に登場

2つの事例を見ていこう。

三井住友銀行の「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン(約定返済保障型)」では、半壊で6回分、大規模半壊で12回分、全壊で24回分の住宅ローンの返済が免除され、罹災証明書提出後に引き落とされた分をまとめて払い戻す仕組みとなっている。この特約を付ける場合は、住宅ローンの金利が0.1%上乗せされる。

三井住友銀行「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン(約定返済保障型)」(写真:三井住友銀行)

新生銀行の「安心パックS」の場合は、「自然災害時債務免除特約」と「コントロール返済」、介護リスクに備える「安心保障付団信」がセットになっている。自然災害時債務免除特約では、三井住友銀行と同様に半壊で6回分、大規模半壊で12回分、全壊で24回分の住宅ローンの返済が免除されるが、銀行に連絡した直後から引き落としが止まり、罹災証明書はそのあとで提出すればよい仕組みとなっている。安心パックSをつける場合は16万2000円の事務取扱手数料が必要だが、金利は変わらない。

いずれの銀行も、新規に住宅ローンを借りる場合に特約をつけることができ、ローン返済中の被災に対して1度限りの免除となる。

対象災害・免除内容は金融機関により異なるので注意

また、三井住友銀行では、「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン」で、金利に0.5%上乗せで、地震や噴火、津波で全壊した建物のローン残高の50%相当が免除される「残高保障型」のタイプを選ぶこともできる。

これ以外にも類似の特約を用意している金融機関はあるが、対象となる災害や免除内容、コストなどがそれぞれで異なるので、条件などを詳しく確認してほしい。

自然災害への備えを厚くしたい人は、こうした特約の付けられる住宅ローンを選ぶという選択肢ができたことになる。

なお、もし大規模災害に被災して住宅ローンを抱えて生活に困窮するようなことになった場合は、自己破産を回避し、金融機関に「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(2016年4月より運用)に基づく住宅ローンの免除・減額などを申し出る道もある。

何事もなければ問題なく返済できる住宅ローンであっても、自然災害など自分ではどうしようもない原因で、返済が難しくなる可能性もある。そうしたことにあらかじめ備えておくことが、自然災害の多い日本でマイホームを買う心得だろう。

巨大地震の発生確率が高い現状ではあるが、甚大な自然災害が起きないことを願うばかりだ。

取材協力
三井住友銀行「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン
新生銀行「安心パックシリーズ/自然災害時債務免除特約
自然災害債務整理ガイドライン (政府広報オンライン)
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