介護に疲れ67歳の母を絞殺した41歳娘の告白

「痛みのない世界へ連れて行きたかった」

一方、佐々木被告のほうも長らくうつ病を患っていた。母親の2度目の自殺未遂は、佐々木被告に大きな衝撃を与えた。

「買い物から帰ってきてベッドのところに行ったら、首から血を流してました。ショックを受けて……自分が介護してるのに2回も自殺未遂……自分が介護してていいのかなと思いました」

加えて、佐々木被告はこれ以前から、母の介護をめぐり弟からたびたび意見も受けていた。

一家は二世帯住宅に住んでいた。1階には佐々木被告と母親、そして佐々木被告の弟。2階には佐々木被告の兄とその妻、彼らの子ども2人。母の介護は主に佐々木被告が担っていたが弟もかかわっていた。ただ、その弟が佐々木被告を追いつめていた面がある。

「母が息苦しいと言っていたので病院に行き薬を調整してもらいました。その後、(弟から)『お母さんを自分の安心する道具にするな、自分が安心したいがために病院を連れまわすな』と言われました」

不安の末、被告は自殺を試みる

介護について意見を交わすというより、弟の意見に従う生活を続けていたようだ。

「弟はショートステイに反対で『初めてのところに泊まりに行かせると、自宅でやっているように関節を動かしてあげたりマッサージなどができないから、余計に体が動かなくなる』と言っていました。私は月に1回でも利用させてみたいと思っていたけど、弟には言えませんでした。たとえば『向こうでケガしたらどうする、責任取れるのか』と……。そういうふうに言われたら、利用させたいけど、言えなくなってしまった」

事件直前、佐々木被告が作った食事の内容でもめて、弟が兄夫婦一家の住む2階へ“家出”する。数日間、母との2人暮らしとなった被告は不安が高まり、「入水自殺」を試みている。

「お母さんは寝たきりで要介護、重症なほうなので、何かあったときに1人で対処できるか、心配で心細かったです。3日目の夜、薬を持って、自転車に乗って、川に向かいました。死のうと思ってたからです。そこにいるのがいたたまれなくなって、1人で心細くて……。心が弱い、ってのはあったと思うんですけど、薬を飲んで川に入りました」

だが死ぬことはできず、ずぶ濡れで帰宅した。

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