コンビニの商品価格にこめられた意外な真実

捨てる費用まで織り込んで設定している

「週販いくつ」(週にいくつ以上売れなければカット)という条件です。それが満たされなければ、定番カット(定番棚から撤去)されます。この「週販」の個数をクリアし、棚のスペースを確保して置き続けてもらうため、新製品導入直後、社員や関係者がノルマを決めて購入していた企業もありました。

食品メーカーを辞めた後は、様々な理由で商品として流通できない食品を企業などから引き取り、福祉施設や困窮者へ無償で分配する、日本初の「フードバンク」で3年間、広報責任者を務めました。

このフードバンクには、コンビニの厳しい販売条件に合わなくなった「コンビニ限定」の菓子や飲料などが、数十ケース以上の単位で寄贈されていました。

コンビニ限定のものは、スーパーで売られているものに比べてパッケージがひとまわり小さい場合があります。スーパーに比べて売り場面積や商品棚が狭いからです。また、コンビニの企業名やロゴマークが入っているパンや菓子などは、そこでしか売ることができません。

コンビニ限定の商品は、コンビニで売れなくなると、他へ持っていきようがないので、処分するしかありません。最初のマーケット(納品先)で販売できなかったものは、安く仕入れた品を格安で販売する店などに流されることがあります。これらの店は、投げ売りを意味する「バッタ」という言葉から「バッタ屋」と呼ばれています

「捨てるための費用」はここにもかかっていた

「捨てるための費用」が値段に織り込まれているのは、コンビニだけではありません。飲食店も同じです。

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私は女子栄養大学で「食文化情報論」、石巻専修大学で「フードスペシャリスト論」の講義を担当しています。ほかにも、全国の大学から依頼を受け、「食品ロス」や「キャリア」をテーマにした講演をする機会があります。そこで出会う大学生の多くは、飲食関係の店でアルバイトをしています。

彼らは、コンビニ、ファミリーレストラン、居酒屋、弁当店、焼肉店、パン屋、ケーキ屋、ドーナツ屋、披露宴会場、ホテル(のビュフェ)などで、大量に食品を廃棄せざるを得ない状況に生まれて初めて直面したときの衝撃と心の痛みを、よく話してくれます。

もちろん、捨てない努力をしている企業や店はたくさんあります。それを企業の公式ホームページなどで正々堂々とアピールしている企業や店もあり、心強く思います。逆に、大量に捨てている企業が、自社の廃棄状況を積極的に公式発表することはあまりありません。でも、たとえ企業が言わなくても、現場で働く大学生が、生の情報を教えてくれます。

今日からできること

*ペットボトルの飲料や菓子など、商品の入れ替わりが激しい食品カテゴリで、新商品が何日くらいその棚で生き残っているか、毎日コンビニで定点観測してみる。

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