「今よりコンパクトな家」を望む中高年の胸中
家族と常に一緒よりも各々の自立に期待も

住環境研究所が既婚の50代以上の中高年に調査したところ、家族と常に一緒にいるより、それぞれの自立を期待する声の方が大きいことが分かった。夫婦や子どもとの関係はどうありたいと見ているのか、どんな住まいがよいと思っているのか、イマドキの中高年の意識を詳しく見ていこう。
イマドキの中高年は“個々を尊重”する傾向に
既婚で50代以上というと、夫婦だけの生活がこれから長く続くことが想定される。夫婦の関係について聞いたところ、【A】「夫婦といえども一人の時間がほしい、それでこそ仲良く暮らせる」のほうが、【B】「会話があってこそ分かり合える、共有の時間を多く持ちたい」より多く支持されたことが分かった。
この傾向は、年代別では定年前後の「55~59歳」と「60~64歳」、性別では「女性」に顕著に見られたという。仕事中心の夫が定年後に自宅に長くいるようになると、生活スタイルが変わってしまうことから、互いの自立を望む声が多くなるのだろう。特に女性にその傾向が強いわけだ。
自立を期待する人が多いことは、夫婦にとどまらず、子どもとの関係にも影響する。【A】「子どもは社会人になったら自立すべきだ(家を出るべきだ)」と【B】「子どもが結婚してもできればいっしょに(近くで)暮らしたい」のどちらかを聞くと、やはり子どもの自立を望む声が多かった。
ちなみに、筆者の知人の事例だが、同居している社会人の娘に自立をするようにと、一定期間の家賃補助を条件に促したところ、その期間が過ぎて家賃補助を打ち切ったら自宅に帰ってきてしまったという。なんということか!

夫婦でも親子でも自立を望む声が多数の中高年は、まだまだ働きたい、生きがいをつくったり体力をつけたりしたいという人が多く、元気そのもののようだ。そんな中高年の暮らしや住まい感については、どうだろう?