政府の外国人労働者受入れ策が「0点」の理由 だから日本では永遠にダメ経営者が生き残る

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外国人労働者の受け入れ問題は、数値をもって管理すれば納得の行く結論になるはずだ(写真:AFP/アフロ)

KPIがないのは、絶対にマズイでしょ!

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「KPI」とは「キー・パフォーマンス・インディケーター」の頭文字を取ったもので、個人や組織の成果の良し悪しを評価するために事前に設定された数量で評価できるような指標のことだ。ビジネスパーソン読者の多くにとっては、すでに日常語の一部だろう。

ビジネスの場で個人や部署の評価のために設定されるKPIは、その設定が不適切であるために仕事の邪魔になることがよくあるわけだが、一方、全くKPI的な基準なしに人事や賞与が評価されるのでは納得性が乏しい。たかがKPI、されどKPIである。

さて、現在開かれている国会のテーマの中で、我々の生活に大きな影響を与えるものは、何と言っても外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理・難民関連法案(いわゆる入管難民法)の改正案だろう。

現在、コンビニに買い物に行ったり、低価格な外食店で食事をしたりするだけで、多くの労働が外国人に担われていることが分かる。報道されている数字(大手コンビニで5〜10%程度)よりも多く感じるのは、外国人の1人当たり労働時間が長いからだろうか。有効求人倍率が異例の高水準で推移している現在、少なくとも企業側が(間接的には消費者の側も)新たな「人手」を追加したい状況にあることは、大まかな話としては理解できる。

一方、外国人労働者と競合する日本人労働者は、「せっかく賃金が上昇し始めているのに、賃金が十分上昇しないうちにわが国が外国人労働者を大量に受け入れると、賃金が生活を顕著に改善できるほど上がらないのではないか」という心配を抱くだろう。

また、本件の文脈ではあまり話題には上らないが、インフレ目標「2%」がなかなか達成できない日銀も、賃金は物価への影響が大きいので、労働市場の需給に影響を与える外国人労働者の受け入れ問題に注目しているはずだ。

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