「文化戦争」で分断を深めたトランプの行く先

「夜のアメリカ」で共和党をハイジャック

トランプ支持者に響く「反移民」で「文化戦争」をしかけたトランプ大統領(写真:REUTERS/Carlos Barria)

「下院はもうトランプ追認のゴム印(rubber-stamp)にならない」。2018年11月6日投開票の中間選挙翌日、民主党支持者の筆者の友人は興奮気味に語った。アメリカ建国の父が築いた三権分立の抑制と均衡が、次期議会ではようやく機能し始めるとの期待感に満ちあふれていた。

「ブルーツナミ(津波:ブルーは民主党のシンボルカラー)」とまでならなかったが、「ブルーウェーブ」が押し寄せ、民主党は下院を奪還した。一方、上院は事前の予想どおり共和党が多数派を堅持した。2019年1月開会の次期議会では一党支配のワシントン政治は終わり、ドナルド・トランプ大統領に対し政権発足以来、初めて議会の牽制機能が働く見通しだ。

中間選挙は大統領の信任投票でもあったが、トランプ大統領のメッセージは上院では好影響、下院では悪影響を及ぼし、上院と下院の接戦選挙区ではまったく異なる有権者を対象に選挙戦が展開された。

「好景気」でなく「反移民」で共和党をハイジャック

2018年中間選挙は過去の選挙と異なり、「すべての選挙は地元」ではなく、ほぼ「すべての選挙はトランプ」と化した。CBSニュースによると、下院選挙の出口調査では約3分の2の有権者が各自の投票行動にトランプ大統領の存在が影響を与えたと回答。トランプ大統領の名前は投票用紙に記載されていないが、実質、大統領の信任投票であった。

大統領は全米各地に赴き「(共和党候補)への投票は、私への投票と同じ」と演説し、信任投票となるように自ら推進した。したがって、大統領が選挙キャンペーンに深く関与し共和党の選挙戦をハイジャックしたことで、大統領の言動が有権者の投票行動に影響した可能性が高い。

1992年大統領選で、再選を狙うジョージ・H・W・ブッシュ大統領(当時)に勝利したビル・クリントン候補(当時)は「経済こそが重要、馬鹿者!(It’s the economy, stupid!)」を選挙スローガンに掲げ、経済を争点とした。今回の中間選挙では、トランプ政権はタイミングよく好景気を迎え、本来であれば大統領の政党に強い追い風が吹いてもおかしくない。中間選挙直前の2018年10月、アメリカの失業率は3.7%とベトナム戦争中の1969年以来の数値を記録した。ところが、中間選挙でトランプ大統領が焦点を当てたのは、経済ではなく、移民政策であった。

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