鳥貴族社長「値下げすることは絶対にない」 大倉社長を直撃!値上げ後苦戦の理由とは?

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昨秋に28年ぶりの値上げに踏み切った鳥貴族。だが、値上げ後の業績は厳しい。大倉忠司社長はこの状況をどう打開するのか(撮影:今井康一)
2017年10月。焼き鳥チェーンの鳥貴族は、人件費や食材の仕入れ価格の高騰を理由に、全品280円均一から298円均一へと値上げを断行した。同社の値上げは実に28年ぶりのことだ。値上げ後4カ月目となった2018年1月から既存店の客数が急減。直近の9月には既存店客数が前年同月比15.3%減、同売上高は13.1%減と深刻な不振に陥った。
こうした状況に株式市場も敏感に反応した。年初には3910円だった株価も、10月30日には年初来安値となる1913円にまで下落。この1年の不振をどのようにとらえているのか。そして、今後どう巻き返していくのか。大倉忠司社長を直撃した。

「自社競合の影響が大きかった」

――客数が大幅に落ち込んでいます。値上げの影響が大きいのでしょうか?

値上げによって、当初は客数減を想定していた。また、同業他社の焼き鳥、鶏業態との競争激化に加え、コンビニエンスストアも大手3社が焼き鳥に力を入れてきた影響もあるだろう。

だが、われわれが調査をした結果、現時点では自社競合の影響が大きいと分析している。過去の同業他社の、値上げ後の業績や月次状況の推移を見ると、やはり値上げ直後にいちばん影響を受けて徐々に回復するという傾向がみられる。しかし当社は、値上げして3カ月間は客離れがみられなかったが、4カ月目から客数が落ち込んでいった。

疑問に思い調査したところ、既存店売上高の落ち込みと出店ペースが非常にリンクしていることがわかった。価格改定だけなら徐々に(客数を)回復させていく自信はあったが、自社競合の影響が大きかったと考えている。

――どのような調査結果だったのでしょうか?

前2018年7月期は上期より下期に多く出店を行っているし、ここ3年、出店ペースも年間50~100店というハイペースだ。その中で、すでにある店舗の近隣に出店したときに、既存店売上高の前年割れが顕著だった。

関東・東海・関西という3エリアで比較しても、関西がいちばん古く店舗も多いので既存店が厳しくなるはずだが、実は関西がいちばん堅調。一方、出店ペースが速い関東、東海で既存店売上高が前年割れだ。

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