中国の「新車市場」が直面する曲がり角の正体 00年以降初マイナス成長へ、日本車に影響も

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トヨタが中国市場に投入したC-HR。SUV市場でのシェア拡大をはかる(著者撮影)
2018年9月単月の中国新車販売台数は前年同期比11%減、3カ月連続で前年割れとなった。経済状況の変化による国内消費マインドの低下などにより、9年連続で新車販売世界首位を維持した中国自動車市場は今年、2000年以降初めてのマイナス成長になると予測される。足元の減速は市場低迷期入りを示唆するものなのか、あるいは一過性の調整に過ぎないのか。また、市場の変調は日系自動車メーカーの中国事業に少なからず影響を与え始め、日本車の中でも明暗が分かれている。

レジャー向けSUVの減速が大きく影響

右肩上がりの成長を続け、新車販売3000万台の大台にあと一歩まで迫った中国自動車市場に今年、急ブレーキがかかっている。特にスポーツタイプ多目的車(SUV)の減速は市場に大きな影響を与えている。

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近年、中間所得者層の膨張により、中国の自動車需要はかつてのビジネス向けセダンへの一極集中を脱し、若年層やファミリー層を中心にレジャー向けSUVに人気が集まっている。2017年のSUV市場は初の1000万台規模に達し、乗用車に占める割合は2012年の13%から44%に上昇した。

一方、今年1~9月のSUV販売台数は前年同期比3.6%増、9月単月ベースでは4カ月連続の前年割れとなった。セダン市場は同1.3%増であったが、新エネルギー車(NEV)の伸びを除くと、中国自動車市場はすでにマイナス成長となっている。

中国では、地域発展のアンバランスや貧富格差の拡大など、クルマ消費を抑制する要因は多い。足元の中国自動車市場の減速は、3つの要因によるものと考えられる。

1つ目の要因は、中国政府の打ち出す政策や規制である。今年6月末時点、中国の自動車保有台数は2億3000万台に達し、道路の交通容量や駐車場の不足が顕在化。大都市圏での渋滞が大きな問題となっている。現在、すでに8 都市・地域がナンバープレート発行規制による渋滞緩和を図っているが、今後は他都市でも規制の導入が見込まれている。

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