ブラジル新大統領にキューバが震撼する事情 危険なボルソナロ氏が考えていること

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来年1月にブラジルの大統領に就任する予定のブラジルのトランプこと、ジャイル・ボルソナロ氏(写真:PILAR OLIVARES/ロイター)

世界のGDPランキングで8位、ラテンアメリカでは最大の経済大国ブラジルで来年1月1日に極右で「ブラジルのトランプ」と呼ばれているジャイル・ボルソナロ氏(63)が大統領に就任する。

同じラテンアメリカでボルソナロ氏の大統領就任を最も恐れていた国がある。カリブ海のキューバである。理由はキューバで最も貴重な外貨獲得源に多大の影響を及ぼすことになる可能性があるからだ。その詳細を説明する前に、ボルソナロ氏という人物と、なぜ彼が大統領に選ばれたのかということを先に説明したい。

給料が低いのが不満で兵舎を爆破

ボルソナロ氏はブラジルの士官養成のアグヤス・ネグラス大学校を卒業して、最初は砲兵部隊に所属。その後パラシュート部隊に移って大尉で退役している。ボルソナロ氏の父親は軍にはまったく関係なく、医師免許を持たない歯科医であった。

ボルソナロ氏が軍隊から退役した理由は強烈だ。軍人の給料が低すぎるというのを抗議するために、彼が指揮して少数の士官クルーが1987年に小規模な爆薬物を兵舎などに仕掛けて爆破。軍事裁判にかけられて無罪となったが退役を余儀なくさせられたのである。この事件の1年前にも、ボルソナロ氏は著名な雑誌『Veja』に投稿して同じく給料の低いことに抗議。これに対して軍部は、彼に15日間の監禁を命じている。

軍を退いてから、ボルソナロ氏が関心の目を向けたのが政治であった。1989年にリオデジャネイロの市会議員を皮切りに、1991年には連邦議員に当選。2014年の下院選挙ではリオデジャネイロで歴代最高の得票数で当選している。

ただ、彼は議員として一匹狼的な存在で、所属する政党も8回変えている(なお、ブラジルの下院には30余りの政党が存在している)。現在、所属している政党は少数派政党の1つ、社会自由党である。

ボルソナロ氏の議員活動で目立つのは法制化させる議員立案の多くが、軍部や軍人に関係していることだろう。下院議員としては際立った存在ではなかったが、彼の発言内容は過激で、人種差別、ホモファビア、男性優越主義といったものを聞く人に感じさせる点で異色だった。1964〜1985年まで続いた軍事政権を称えたり、武器所持の自由化などを提唱しているのも特徴だ。

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