45歳、大阪の会社員→バー経営者が得た稼業 映画の舞台にもなった味園ビルで今日も働く

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千日前にある味園ビルの2階にはディープな空間が広がっている(筆者撮影)
これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむと古田雄介が神髄を紡ぐ連載の第44回。

個性的なお店が林立している味園ビルの2階部分

大阪の繁華街、千日前(大阪市中央区)にある味園ビルの2階部分には、個性的なお店が林立している。歩いているだけでワクワクドキドキする不思議な場所だ。

味園ビルが建てられたのは1956年と半世紀以上の昔、日本が高度経済成長期だった頃だ。ビル内には宴会場、キャバレー、サウナ、ホテル、スナックなどのレジャー施設が営業して大変にぎわっていたという。

時代は変わりバブルがはじけた後は、訪れる客が激減した。2階部分に所狭しと並んでいたスナックも大半が潰れてしまった。

その後、経営方針が変わり、若いオーナーが増えてバーやライブハウスなどの運営を始めた。若者らしい、サブカル、アングラな雰囲気のお店もたくさん作られた。東京でいうと新宿歌舞伎町のゴールデン街のような個性的な飲み屋街が、ビルの2階部分に形成されているのだ。

この雰囲気が受けて、連日多数のお客さんが訪れては、飲み歩いている。筆者も大阪に出張する際は、必ず立ち寄っている。

そんな味園ビルの中にある「深夜喫茶 銭ゲバ」は今年で営業13年目、老舗のバーになる。常連客も多く、毎日にぎわっている。クリエーターやタレントが訪れることも少なくない。チャージなしで1ドリンク500円のキャッシュオン(現金払い)なので、初めてのお客さんでも入店しやすい。

銭ゲバを経営するムヤニーさん(45歳)は、定休日も作らずほぼ毎日カウンターの中に入り営業している。

もともとはサラリーマンとバーテンダーの二足のわらじを履いていたが、現在はバーの売り上げのみで生活をしている。

バーのマスターをやってみたいと思う人は少なくないが、実際にお店を立ち上げて会社を辞める人はごく少数だ。

どのような経緯でお店を開くことになったのか、そして店舗経営の長続きのコツはなんなのか。

営業が始まる前の、銭ゲバ店内で聞いた。

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