自動車、小売り、建設…注目7業界の業績展望 「会社四季報」秋号の全産業営業利益予想は?

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日本企業の業績回復が株高を演出してきた(デザイン:山根 佐保、写真:Getty Images)

同時安に見舞われた世界の株式市場。日本株も例外ではないものの、依然として日本経済は順調に見える。東洋経済が上場企業の業績動向などをまとめて四半期に1回発刊する『会社四季報2018年4集 秋号』(9月発売)の営業利益予想は、産業全体で今期(2018年7月~2019年6月期)が前期比6.9%増、来期(2019年7月期~2020年6月期)が同6.0%増だ。

一方、国内には業況が厳しい業種もあり、海外における米中貿易摩擦などの不安材料も少なくはない。

10月15日発売の『週刊東洋経済』は「絶好調企業の秘密」を特集。一時は2万4000円を超えるほどまで急伸した日本株の中で、特に業績好調な企業の動向を追っている。そんな絶好調企業が集まる各産業の動向について概観する中で、特に注目の7業種について解説しよう。

医薬品の来期営業利益増加予想は13%以上

『会社四季報 秋号』で、来期営業利益の前期比増減率予想が13.3%増と最も高かったのが医薬品業界だ(以下、営業利益増減率予想は『会社四季報 秋号』より)。国内環境は厳しく、本来なら2年ごとに行われる薬価改定(実質引き下げ)が今年度に続いて、2019年度も2年連続で行われる。2021年度以降は薬価改定が毎年になる。こうなると、製薬大手でも国内販売の比重が高いメーカーには逆風が強まる。

『週刊東洋経済』10月15日発売号(10月20日号)の特集は「絶好調企業の秘密」です。 書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

一方で海外、特にアメリカを中心に大型新薬を開発し、海外売り上げを伸ばすのが製薬大手に共通する基本戦略だ。業界首位の武田薬品工業が欧州大手のシャイアーを買収する狙いの一つにも海外強化がある。アステラス製薬やエーザイ、中外製薬、塩野義製薬は2018年度の業績は好調。海外製薬会社との提携を生かして海外での収益を高め、国内の逆風を克服しそうな勢いだ。

今期(8.9%増)より落ちるものの、来期の小売業界の営業利益増減率予想は前期比8.1%増と堅調だ。コンビニでは店舗数が2万を突破した最大手・セブン-イレブンが、スマートフォン向けアプリなどITを生かした商品提案で顧客の囲い込みに注力する。

セブンを追うローソンは2017年に三菱商事の傘下に入り、2018年10月にローソン銀行を開業するなど、収益源の強化・多角化を図る。ファミリーマートも伊藤忠商事が子会社化し、海外展開や金融事業を強化する意向だ。

GMS(総合食品スーパー)最大手のイオンは、コンビニやドラッグストアが食品売り場を拡大しているため、顧客争奪戦が激しさを増している。そこで、プライベートブランド(PB)商品を拡充して顧客1人当たりの買い上げ点数増を図る。中国のIT企業と設立した合弁会社を軸に、AI(人工知能)で管理する無人店舗の研究を開始するなど、次世代を見据えた店舗開発をにらむ。

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