十勝産小麦を使ったパンは他と何が違うのか 生産者と製造業者が支えるブランド力

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7月の初めから8月の終わり、収穫期を迎えた小麦畑は黄金色に輝く(写真:SHUN GATE編集部 取材月・July 2018)

パンにはじまり、うどん、パスタ、お菓子など小麦粉を使った食べ物は日常生活にあふれている。そんな小麦粉をつくるうえで欠かせないのが「小麦」だ。国産小麦の大部分が北海道で生産されており、2017年の小麦の生産量は実に60万トンを超える。この量は、国内全体の約60%にあたる量だ。

当記事は「SHUN GATE(運営:凸版印刷)」からの転載記事です。英文はこちら

北海道屈指の小麦産地である十勝地方。日高山脈、大雪山系、さらに太平洋に接するこの地方は、東京と比べて、年間平均気温が10度ほど低く、降水量も少ない。冷涼で湿度の低い気候を好む小麦にとって、適した栽培環境なのだ。

意外なことに、北海道の小麦産地としての歴史は50年ほど。1970年代、食料自給率低下の対策に実施された農業政策を契機に小麦の栽培面積は急増した。

北海道産小麦の伝導者、前田農産

麦作を支え続ける農場の一つが、十勝地方は本別町にある前田農産だ。1899年の北海道開拓時代に本別町に入植し、じゃがいもの加工業を経て、40数年前から小麦の生産に取り組んでいる。

北海道屈指の小麦産地である十勝地方(写真:SHUN GATE編集部)

「小麦を作り始めたのは、うちの三代目にあたる父の代から。道内で育成された品種や新しい栽培技術の普及が麦作の発展を後押ししました」

そう話すのは前田農産の四代目、前田茂雄さん。前田農産は所有する120ヘクタールの耕地のうち、80ヘクタールを麦作に利用している。7月のはじめから8月の終わり、収穫期を迎えた小麦畑は黄金色に輝き、絨毯のように涼風にゆれる。

前田農産の四代目、前田茂雄さん(写真:SHUN GATE編集部)

小麦の収穫期は品種によって、種まきから収穫までが早い「早生(わせ)」、収穫が遅い「晩稲(おくて)」、早生と晩稲の中間期に収穫できる「中手(なかて)」に分けられる。前田さんは、複数の品種を栽培し効率的に収穫している。

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