万世橋・汐留、大変貌でも残った「鉄道の足跡」 再開発によって廃止駅の街に再び脚光

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旧万世橋駅は「マーチエキュート」に生まれ変わった(写真:pretty world/PIXTA)

近年、街の顔でもある駅の拠点化は激しく進んでいる。それはJR東日本が積極的に取り組む“エキナカ事業”が活況を呈していることと無縁ではない。

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JR東日本は駅構内の空間を有効活用するべく、2000年前後からエキナカ事業に力を入れるようになった。2005年には、大宮駅にエキナカ商業施設“エキュート大宮”がオープン。

それを契機に、半年後には品川駅構内にもエキュート品川を開業。その後も続々とエキナカをオープンさせている。JR東日本がエキナカ事業に成功すると、ほかの鉄道事業者も追随。東京圏の駅では、あちこちでエキナカ開発が進められている。

それまでにも、駅構内には立ち食いソバ屋や、車内での移動時間を快適に過ごすために雑誌・菓子類などを販売する売店はあった。エキナカがこれらと大きく異なるのは、ちょっとした立ち寄りの利用者のみならず、きっちりと買い物をする層もターゲットに取り込んでいる点にある。

エキナカには理容店や文房具店、洋服店、ジュエリーショップなど、ありとあらゆる店が並ぶ。もはや駅そのものが、ひとつの商店街・都市と化しており、経済的にも無視できない規模に拡大した。また、私たちの生活にも深く入り込んでいることもあり、欠かせない生活インフラにもなった。エキナカによって駅の拠点化は進み、その開発は次のステージへと踏み出している。

万世橋駅の跡地が商業施設として再生

交通機関としての役割を終えた駅が商業施設として再開発されて、違った角度から拠点化するケースも出てきている。中央線の神田―御茶ノ水間にあった万世橋駅は、2013年に複合商業施設「マーチエキュート神田万世橋」として再生を果たした。

万世橋駅は、1912年に中央線のターミナル駅として開業した。もともと中央線は甲武鉄道という私鉄が1889年に開業させた路線だ。甲武鉄道は新宿―立川間を建設し、その後も少しずつ東西に線路を延ばした。

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