尾久と越中島、都会「秘境駅」人気上昇の必然 不動産業者が熱視線、その判断材料は何か

拡大
縮小
JR東日本の尾久車両センター。行き交う列車を眼下に眺めることができるマンションも(写真:tarousite/PIXTA)

2001年3月、東急電鉄は東横線のダイヤを改正した。それまで、東急東横線では各駅停車・急行の2種類しか運行していなかったが、ダイヤ改正により特急が誕生した。

東洋経済オンライン「鉄道最前線」は、鉄道にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

運行開始直後の東横特急は、渋谷ー横浜間の停車駅が自由が丘・武蔵小杉・菊名だけで、渋谷ー横浜間は32分から28分に短縮された。それまで急行停車駅だった学芸大学駅や田園調布駅などは、特急の登場で存在感が薄くなった。

ダイヤ改正で特急が停車するようになったり、新たな路線が開業したりすると駅を取り巻く環境は激変する。利便性が向上して、駅周辺が急激に発展するといったケースは珍しくない。

街の栄枯盛衰を左右する鉄道

鉄道ひとつで、動線は目まぐるしく変わる。動線に変化が生じれば、当然ながら人や物の流れにも影響が出る。それが、街の栄枯盛衰を左右する。

2015年3月に開業した上野東京ラインも、東京圏の動線を大きく変えた路線のひとつだ。東京駅を境に別々に運行されていた東海道本線と東北本線が、上野東京ラインの開業によって相互乗り入れを開始した。上野東京ラインの開業によって、これまで光の当たらなかった東北本線(高崎線・宇都宮線)の尾久駅は一躍スターダムに駆け上がることになった。

尾久駅は、上野駅から東北本線で一駅隣に位置する。それだけだと、非常に交通至便な駅だと思えるだろう。しかし、実態は違う。東北本線上野駅発の下り電車は、平日も土休日も23時46分発高崎駅行が最終で、尾久駅発は23時51分。上り電車も赤羽駅発24時04分が最終で尾久駅発が24時08分。東京圏のJR路線では、終電がかなり早く設定されている。

尾久駅の最終電車が早い理由は、東北本線と京浜東北線の歴史的な経緯にある。東北本線は私鉄の日本鉄道が1883年に開業させた路線で、最初に開業したのは上野駅―熊谷駅間だった。その後、東北本線の線路は北へと延びていく。

次ページ尾久駅付近だけは線路が離れている
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT