0歳の長男絞め殺した30代うつ病女性の懺悔

なぜ彼女は愛しいわが子を手にかけたのか?

美緒被告はわが子を“もっと愛してあげたい”と思っていたというが、決して愛情がないわけではなかった。公判では彼女の几帳面さがわかる育児ノートや日記が証拠として提出されている。そこには産まれたばかりの健ちゃんについて、こうつづられていた。

「健ちゃんのお世話が最優先、なるべく表面上だけでも元気に 健ちゃんが泣いてたら早く行く」「健ちゃんキュウキュウ言っててかわいい」「健ちゃん大好き!」

元夫も妻である美緒被告と息子の健ちゃんを愛していた。早く一緒に暮らしたいと話し合いを進め、通勤には不便になるが美緒被告の実家の近くに、3人で住む部屋を探しているところだった。定期的に実家を訪れ、美尾被告と一緒に健ちゃんの沐浴もしていた。

なぜわが子の命を奪ってしまったのか?

美緒被告は事件を起こす10日ほど前、元夫とこんなLINEのやり取りをしている。

美緒被告:一生守ってくれますか?
元夫:もちろん
美尾被告:寝たきりでも?
元夫:うん 健も美緒も守るよ

それでも、健ちゃんの命は美緒被告により奪われ、結局ふたりは離婚に至った。実家の家族も、美緒被告のうつ病について認識しているうえ、自殺未遂を企てていることを察知し、できるかぎりのサポートをしていた。それでも、美緒被告は孤独を深めていった。どうすれば健ちゃんは命を失わずにすんだのだろうか。

とはいえ公判ではひとつだけ気になることがあった。美緒被告は元夫との結婚を後悔しただけでなく、「元彼との復縁」をほのかに願っていた形跡も明らかになったからだ。

事件を起こした2017年3月に美緒被告はスマートフォンで「元彼 忘れられない」「忘れられない人」「復縁 不倫」など頻繁に検索していたことがわかっている。さらにmixiの受信箱を多数回閲覧したのち、元彼にゆかりのある土地のホテルを検索していた。だが、これらについて美緒被告はすべて「覚えてないです」と答えている。

本当は結婚したい相手がいたという後悔が妊娠をきっかけに湧き出てきたのか、それともうつ病の進行により現状から逃避しようと行動に出たのか。スマホの検索履歴を本当に覚えていないのか。

美緒被告には懲役5年が求刑され、懲役3年執行猶予5年の判決が言い渡された。双方から控訴の申し立てはなく、判決は確定している。

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