0歳の長男絞め殺した30代うつ病女性の懺悔

なぜ彼女は愛しいわが子を手にかけたのか?

わが子の命を奪ってしまった理由とは?(写真:Graphs/PIXTA)
すべての「家族」が仲良く、手を取り合って暮らせるわけではありません。中には親子やきょうだい同士で激しく憎しみ合い、争いの末、裁判や事件にまで発展してしまう家族もいます。本連載では、長年傍聴ライターとして活動し続ける高橋ユキが、裁判の傍聴を通じて「現代の家族が抱える問題」に焦点を当てます。

「子育てをしていく自信がなくなった」

「健ちゃんの足と胴体を持って、壁に頭をぶつけました。そのあとは、健ちゃんの首を絞めました……。回数は覚えてないです……。そのあとは、結んだ服を取り出し、首を吊りました。健ちゃんに罪はないんだから、死ななきゃいけないと思ったからです。でも苦しくてできませんでした。もしかしてこれは夢なんじゃないかなというふうに思ったのと、どこか無感動で、何も感じないような、ぼうっとしたような状態でした……」

涙をこらえているのか、時折声を詰まらせながら法廷でこう語るのは、健ちゃんの母親だった。

この連載は今回が初回です

東日本大震災からちょうど6年の2017年3月11日、警視庁調布署は殺人容疑で川崎市の無職、山田美緒(仮名・30代)を逮捕した。前日の10日午後、東京都調布市の実家で、生後2カ月の長男・健ちゃん(仮名)の首を絞めて殺害したという容疑だ。

事件当日は午後7時20分ごろに外出から戻った母親が、健ちゃんの異変に気づき、タクシーで市内の病院に連れて行ったが、ほどなくして死亡が確認された。美緒被告は2016年8月ごろから出産のために実家に帰省しており、その日は健ちゃんと2人で実家にいたという。逮捕当時から彼女は「子育てをしていく自信がなくなった」と犯行を認めていた。

次ページ事件まで、彼女に何があったのか
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