村上世彰氏が「投資教育」で全国を回るワケ 子ども向け「お金の授業」をまとめた本を刊行

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『いま君に伝えたいお金の話』を刊行した村上世彰氏(撮影:尾形文繁)
昨年の『生涯投資家』に続き、投資家の村上世彰氏が8月に投資教育本『いま君に伝えたいお金の話』を刊行した。現在の村上氏は日本株への投資を継続している一方で、全国の小学校、中学校、高校を回り、お金についての話をしているという。今回の本はその「お金の授業」の中から本当に伝えたい話をまとめたものだ。

お金は道具にすぎない

――『生涯投資家』に比べると『いま君に伝えたいお金の話』は印象がかなり違います。

『生涯投資家』は官僚になってからの事実をまとめたものです。本当はこうだったのだと。すると全国の読者から「村上さんからおカネの話を聞きたい」という手紙やメールをたくさんいただきました。それで10代の若者を対象に「お金の学校」と称して、講義して回ることにしたのです。

――全国の小中高をこの1年で計10校回ったそうですね。

公立、私立を問わず、声のかかった学校に行ってきました。ありがたいことに「ナマ村上が来るのですか?」と喜んでくれる頭のやわらかい(笑)教員の方々ばかりでした。超難関校にも行きましたが、私が強い印象を受けたのはN高校(インターネットを通じて学ぶ単位制・通信制高校)。生徒たちが、心のどこかで何かを求めている。その度合いが最も強くて、学生と話をしていて面白かったです。私は今シンガポールを拠点としており、年6、7回の帰国の際に1校ずつくらいのペースですが、今後100校は回りたいと思っています。

――村上さんのことを子どもたちは知っていましたか。

まったく知らない子どもがほとんどでした。「おカネは汚いものだ」「おカネがなければ家族間の争いや国家間の戦争は起きない」と考えている子どももいます。しかしその時々の家族の感情や国際政治状況から争いや戦争は起きるのであって、お金が悪いからではない。お金は道具にすぎないと伝えています。

――子どもたちは「なるほど!よくわかった」という感じなのですか。

そんな簡単ではないけれど、「ふーん、なるほどな」と思って、家に帰って親と話をしてくれたらと思っています。

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