日米通商協議が難航しても株価は上昇する

「トランプ山」よりも大きなイノシシは出ない

いよいよアメリカが日本に圧力を掛けて来そうだが市場はどう反応するだろうか(写真:AP/アフロ)

日経平均株価が5月以降「5度目の正直」でついに終値で2万3000円台を回復した。

先週(9月10日~14日)の日本株は、前々週が企業収益の堅調な実態を無視した「売られ過ぎ相場」になった反動もあっての上昇となった。ただ、日本株が実態に沿った戻り歩調を示す一方、アメリカの株価を上下させたのは、米中通商交渉に絡む観測報道や思惑だった。

市場は「一枚岩」でないアメリカに振り回されている

まず9月12日に、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「スティーブン・ムニューシン財務長官が、中国に対して貿易問題を協議するため、閣僚級会議を再開するよう打診した」と報じた。これが「中国からの輸入2000億ドル分に対する追加関税発動前の協議開始で、追加関税は回避か縮小も」との思惑を呼び、一時はアメリカ株価の押し上げに働く局面があった。

だが、この報道の直後に返ってきた中国政府の動向に詳しい筋の反応はこうだった。「そのムニューシンの提案というのは、ドナルド・トランプ大統領は本当に承知しているのか?後から『そんな話、俺は聞いていない』とひっくり返すのではないか?トランプも同意しているとの保証がなければ、会議再開には応じにくい」という感触だった。

こうした中国側の疑念はもっともなものだ。というのも、実は「前例」があるからだ。前回の米中間の閣僚会議は、5月17日から18日に開催された。翌19日には共同声明が公表され、中国がアメリカからの輸入を増やす旨が謳われた。それを受けて、ムニューシン財務長官は、20日のテレビインタビューで「中国が輸入増の方法を具体的に検討している間は、アメリカ側は500億ドル分の輸入に対する関税引き上げの発動を猶予する」、と明言、市場には安堵感が広がった。

ところが同29日になると、トランプ大統領は、そのムニューシン長官の発言を否定するかのように、「6月半ばまでに関税引き上げの具体的な品目の最終案を発表し、その後速やかに制裁関税を実施する」と表明することとなった(実際の関税引き上げは、7月6日と8月23日の2回に分けて実施された)。

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