「イニエスタ効果」は集客増だけでも劇的だ 公表データで読み解く年俸30億円の損得勘定

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また、イニエスタフィーバーはアウェーゲームでも巻き起こっている。イニエスタ加入後にヴィッセル神戸と戦った4チームのうち(9月13日現在)、3チームが今季最多の入場者数を記録している。

唯一今季最多とならなかったのはセレッソ大阪戦。チケットは全席種完売していたものの、同試合とFC東京戦ではイニエスタ選手は一時帰国のため離脱しており、来場しなかった人が多かったようだ。

第25節(9月第1週の週末開催)終了時点では、全クラブの合計入場者数は前年をわずかに下回っているものの、このままいけば前年を上回る可能性もある。

クラブ経営への影響は?

Jリーグクラブ1のインスタグラムフォロワー数(8.3万人、9月13日現在)を獲得するなど、一躍人気クラブとなったヴィッセル神戸だが、クラブ経営にはどのような影響があるのだろうか。

7月31日に発表された2017年度決算では、4年ぶりに最終赤字に転落。2017年に加入したもう一人のエース、ルーカス・ポドルスキ選手獲得などにより人件費(選手・スタッフへの給料)が11億円増加し、Jクラブ最高の31億円まで膨れ上がった。ただ、親会社・楽天などからの広告料収入も11億円増加しており、最終赤字幅は1億5000万円にとどまっている。

2018年度は、30億円超とも言われるイニエスタの年俸が人件費に加算される。単純計算でヴィッセル神戸の人件費が60億円規模に拡大するとすれば、J1全クラブの人件費平均(2017年度)の3倍程度に膨らむこととなる。前年同様、広告料収入も大きく増えるものとみられるが、どこまで補填できるかは未知数だ。

次ページヴィッセル神戸とJ1全クラブ平均の経営状況をグラフで解説
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