コジマ、「郊外での競争」を生き抜く独自戦略 「ミニ四駆」大会から酒販売まで集客力を磨く

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転機となったのは2015年6月、ビックからコジマに移ってきた塚本智明氏(現、副社長)の専務就任だ。塚本氏はビックの旗艦店である有楽町店の店長も務めた営業のエース。同氏は「コジマのメンバーとしてコジマを理解し、コジマの自信を取り戻す」と、原点である白モノの再強化を打ち出した。まず得意の白モノの売り場面積を広げたうえで、ビックの力を活用する方針に切り替えた。

郊外店で情報の先駆者になる

現在ではビックの販売データの活用も進んでいる。都市部に多いビックは販売のトレンドをいち早くつかめる。たとえば、ビックでは共働き世帯の増加で時短家電として自動乾燥機がついた高機能の洗濯機やロボット掃除機が売れている。このような流れをビックの販売データで事前に察知し、コジマでも生かしているという。

「郊外店の中で情報の先駆者となり、競合店よりも半歩先に行ける」(塚本氏)。求められる商品の品ぞろえを事前に充実させ、需要を逃さないことで強みの白モノの拡大を支援する。

もちろん都市部中心のビックと郊外中心のコジマでは違いもある。ビックではよく売れるイヤホンやポータブル音楽プレーヤーなどは、「電車ではなく車での通勤が多い郊外では売れなかった」(塚本氏)。あくまでコジマが主体的に取り組むことによって、データが生かされる。

一時は伸び悩んだデジタル家電も好調だ。グループにパソコン専門店ソフマップを抱える強みを生かし、販売員の研修を強化。パソコンの平均販売単価は2万円上がったという。

コジマ独自の取り組みも進む。柱は「体験」だ。

全国の店舗でミニ四駆大会や子ども向けのプログラミング教室、図工教室を開催している。荒川忠士・経営企画本部長は体験型イベントについて「来店するきっかけを作ってもらい、家電を買うときにコジマを思い浮かべてもらいたい」と狙いを語る。

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