インドネシアが「お家芸危機」を脱した舞台裏 アジア大会バドミントンで「強さ」が復活

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なかでも盛り上がったのが、大会11日目の8月28日のことだった。ジャカルタ中心部スナヤン競技場にある室内競技施設「イストラ・スナヤン」に詰めかけたインドネシア人たちは国旗を手にして大歓声を上げていた。バドミントン男子シングルの決勝戦で世界ランキング15位のジョナサン・クリスティ選手が格上の台湾選手(世界ランク6位)と接戦の末セットカウント2-1で勝利、金メダルを決めたのだ。

クリスティ選手はまだ20歳と若く、今後の活躍が期待される選手だったが、世界ランク12位でエースのアンソニー・シニスカ・ギンティン選手が準決勝でこの台湾選手に敗れたため、インドネシア国民の期待とプレッシャーの中での「大健闘」だった。ちなみにギンティン選手は3回戦で日本のエース桃田賢斗選手を破っている。

男子ダブルスでは世界ランク1位のケビン・サンジャヤ・スカムルヨ選手とマルクス・フェルナルディ・ギデオン選手の世界一コンビと同9位のファジャル・アルフィアン、ムハマド・リアン・アルディアントのペアというインドネシア同士の決勝となった。試合は実力発揮で世界1位コンビが金メダルを獲得し、ワンツーフィニッシュとなった

男子団体戦は決勝戦で中国に敗れたものの、銀メダルを獲得。インドネシアバドミントンチームは、総じて男子選手の活躍が目立った。

2017年5月の悪夢、協会は国民に謝罪

インドネシアのバドミントン関係者が「信じられない悪夢」と回想するのが2017年5月21日から28日までオーストラリア・ゴールドコーストで行われた世界国別対抗バドミントン選手権(スディルマン・カップ2017)である。

この大会はインドネシアの国内大会で数々の成績を残しインドネシアバドミントン協会(PBSI)を創設して協会代表を22年間も務めたディック・スディルマン選手(1922~1986年)の功績にちなんでその名を冠した大会。インドネシアでは重要な大会と位置づけられ、現地の民放テレビが試合の様子を全国に生中継するほどである。

インドネシア選手団はこの第15回大会でグループ最下位となり予選リーグで敗退、決勝リーグに進めないという大会史上初の屈辱を味わい国民は衝撃を受けた。選手団長はPBSI のホームページで「全国民に謝ります」とコメント。PBSIの技術指導チーフのスシ・スサンティさんは「選手は最大限努力したが結果は受け入れなければならない。結果について謝罪します」と国民に頭を下げた。

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