不祥事に過剰すぎる反応を見せる風潮の疑問

ルールが間違っているなら変えるしかない

例えば、最も悲惨なのは神戸製鋼だ。アルミ製品などの強度や耐久性のデータを改竄していたとされたが、その基準とされたJIS基準自体が昔に決められたものである。今はその基準を満たすかどうかは製品には無関係で、仮にJIS基準を満たしていなかったとしても、実際の強度(別の検査様式で測る)は、JIS基準を満たしていたものよりはるかに強いので、実際上の問題はゼロだ。

だから品質についてはまったく問題がないどころか、世界ダントツのトップクラスであるにもかかわらず、何も理解していない報道、あるいは分かっていてもあえて批判すると攻撃されることを恐れた有識者たちの黙殺によって、評判は落ちてしまった。もちろん、実際に製品を購入しているユーザーたちはすべて分かっているから、取引を止めようとは思わないのだが、役所の指導や、何も分かっていない上司などによって取引が縮小したケースもある。さらに、この世で最も何も分かっていない投資家と呼ばれる人々は、神戸製鋼株を売り浴びせ(中には確信犯(品質に問題はまったくないと分かっていた)もいたし、真実などどうでもよく売りの流れを作ればよいと思っていた)、株価は暴落した。

日産の新車の完成検査問題も同じである。無資格検査員が検査していたというこの問題は、排ガスや燃費の虚偽とは異なり、もともとまったく新車に必要ない目視検査を義務付けていた制度に問題があったのであって、合理的なら検査はしないという対応をしたはずで、これが発覚したら、何でそんな無駄な検査をしているんだ、役所はすぐ改めろ、と有識者が主張すべきところを、スキャンダルが自分にも降りかかることを恐れて、これも黙殺し、無駄な検査が続き、日産は無駄に評判を落とすことになった。

コミュニケーションの失敗から起きる不祥事も増加

しかし一方、別の種類の不祥事は確実に増えている。前述の企業が事実として悪いことをしているという不祥事は多くの場合誤解であるし、数も少ないのであるが、人間同士のコミュニケーションの失敗から起きる問題は急増している。それが第三の理由で、ジェネレーションギャップや多様化が拡大し、組織の構成員の価値観いやあえて価値感と書こう、これが多様化し、トップが認識できないほどになっていることがある。価値観という大袈裟なものではなく、感覚的なものの人々の間のギャップが大きくなっているのである。これは、セクハラの受け止め方の違いが急増をもたらしているのと似ていて、以前であれば、組織や社会全体のことを考えれば、形式的にはルール違反だけれども、実質ベースでは問題ないし、むしろいろんなコストも削減され、みんなのためになる、ということがあうんの呼吸で伝わり、誰も、無駄な検査を確信犯で怠っていることを通報したりしなかったし、何かの理由で通報しても、取り上げられなかった。それが自分のためというわけではなく、組織のためにも社会のためにも、全体最適だと分かったからであり、そのような想像力を働かせたからである。今は、想像力の欠如もあるが、考えるということが、表面的な反応と同じものと理解されており、違反、と言えば、すべて違反、ということになってしまうのである。

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