18歳「ロヒンギャ花嫁」と難民キャンプの今

バングラ大量流入1年、帰還の見通しなく

ナヤパラ難民キャンプの嫁ぎ先に着いたロヒンギャの花嫁(筆者撮影)

ミャンマー西部ラカイン州で昨年8月25日、政府軍とイスラム系少数民族ロヒンギャの武装勢力の衝突をきっかけに、隣国バングラデシュへの難民の爆発的流入が始まって間もなく1年。累計100万人に上るロヒンギャ難民の帰還の見通しは立たず、ミャンマーによる“民族浄化”の真相究明も進んでいない。希望が見えない中、難民たちは環境劣悪なキャンプにあって、当たり前の幸せを求めて日々を生きている。

粗末なテントで鶏カレーの婚礼

バングラデシュ最南端のコックスバザール県テクナフ地域、国境のナフ河をはさんでミャンマーの山並みを望むナヤパラ難民キャンプ。7月末、雨季にはあまり見かけないロヒンギャの嫁入りに偶然出くわした。ピンクのショールを被った18歳の花嫁が泥道を歩いて新郎の一族が暮らすビニールと竹材のテントに着いたところだった。新郎側のおばあさんたちに導かれた新婦に少女が花束を持って付き従う。

薄暗いテントで、はにかむ新婦に「新郎はどんな人?」と尋ねると、「まだ顔も見ていません」。3つ歳上の新郎とは今夕初めて引き合わされるという。新郎の父親モハマドさんによると、いずれも農民の両家は遠戚関係にあり、激しい弾圧を受けたラカイン州モンドー地区から昨年9月頃、それぞれ国境を越えて別々の難民キャンプに避難していた。

両親のいない新婦が兄弟姉妹5人と最大規模のクトゥパロン難民キャンプに身を寄せていたところに、モハマドさんが知人を介して「末息子の嫁に」と縁談を持ち掛けた。辺境の保守的なイスラム教徒であるロヒンギャ社会では、こうして親が決める結婚が今も一般的らしい。

もっとも、ラカイン州では結婚も容易ではなく、新郎側の親族男性によると「ロヒンギャは役場に結婚を届け出るだけで150万チャット(約11万4000円)も支払わされるうえ、結婚式を開くと政府軍兵士が60万~70万チャット(約4万6000~5万3000円)たかりに来るので、お祝いもままならない。俺なんか無届け結婚で警察に逮捕されたよ」。

婚礼の夜、鶏をつぶしてカレーを作り、コメを炊いてみんなにふるまったモハマドさんは「本当は牛肉や魚のご馳走を出すのですが、今はこれが精いっぱい。それでも久しぶりに嬉しい出来事です」とほほ笑む。

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