ダイキン「新工場のIoT化」に熱心な理由

第4次産業革命で勝ち残るのは誰だ

パレットにIDカードを取り付け、1台ずつ異なる仕様の製品を1本のラインでつくり上げる

同一の製品を大量に生産するのが一般的な工場の生産ライン。しかし、この工場では、異なる仕様の製品をたった1本の生産ラインで、それも流れ作業で組み立てているのだ。

こうしたマスカスタマイズ生産を可能にしているのが、生産ラインを流れるパレットに内蔵されたIDカード。IDカードには機種仕様などが記録されており、その情報を基に生産ラインに作業指示が出され、製品が組み立てられるというわけである。

また、リアルタイムで生産状況を把握できるよう生産ラインにセンサーやカメラが取り付けられているのも新しい光景だ。

それらの情報すべてを「工場IoTプロジェクトセンター」に集約。生産状況の見える化を図るとともに分析を行って、設備の故障などの異常、生産の遅れを事前に検知する体制を整えている。生産ラインのすぐ横に「工場IoTプロジェクトセンター」を設置し、すぐに現場にフィードバックして改善できるのがポイントだ。ダイキンは、将来的に海外も含めた全生産拠点の生産設備をネットワークにつないで稼働データを収集。グローバル生産の全体最適をリアルタイムで実現することを目指している。

新工場で安定して一つひとつ仕様の異なる受注生産品を効率的に大量生産できる体制を整え、納期も6割短縮したことは、ダイキンにとって大きな飛躍と言える。もともとエアコンは、気候や建物の大きさなど、設置状況に応じてユーザーのニーズが大きく異なる製品だからだ。

その個別受注品の大量生産に成功したとなれば、多くのユーザーに魅力的な製品を届けることができるようになる。そうなれば、ビル用マルチエアコンを100%個別受注品にするという理想を現実に変えることも夢ではなくなる。

マザー工場として最先端のものづくりを実現

ほかにも、新工場には最新の生産技術を導入している。その一つが、生産設備のモジュール化だ。

工程ごとに生産設備がモジュール化されており、「まるでブロックを組み立てるように」それぞれの生産設備をつなぎ合わせて生産ラインをつくることができる。新たに工場を立ち上げるときも、従来の半分の期間で生産ラインを構築することが可能で、生産規模にあわせて設備を増減すれば柔軟にライン編成を行えるのが最大のメリットだ。

エアコンは、猛暑など、その時々の気候によって需要が大きく変動するため、ダイキンはタイムリーに対応できるよう、原則的に市場に近いところで生産し、短納期で製品を納入する市場最寄化戦略をとっている。グローバルでさらなる事業拡大を目指し、新たな生産拠点の設立を進めるダイキンにとって、生産設備のモジュール化は非常に重要な取り組みなのである。

今後もダイキンはIoTの急速な進歩をチャンスととらえ、空調事業の成長を加速していく考えだ。「工場のIoT化」は、ほんのスタートにすぎないということだろう。実際、製品開発においてもIoT技術を活用することを見越して、情報技術系の人材採用を拡大したばかりだ。この先、10年後、20年後も空調のリーディングカンパニーであるために、ダイキンの挑戦は続く。

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