粗悪サプリに潜む健康被害の知られざる恐怖

「薬」と「食品」の違いから理解しておこう

安心・安全とは限りません(写真:fizkes/iStock)

つい先日のこと、同僚の薬剤師が40代の女性患者から「最近お腹が緩くて困っている」と相談を受けていた。聞き取りをすすめていくと患者は歯の健康のために数日前からキシリトールのサプリメントを摂るようになったことがわかった。

キシリトールは大量に摂取すると軟便になる場合がある。摂り過ぎの可能性を考えて、同僚は「1日どのくらい摂っているのか?」と尋ねたが、患者はパッケージに書いてある量を守っているという。

続けて同僚は患者に「ガムや飴などを口にする習慣はないか?」と尋ねた。キシリトールはガムや飴などの食品にも含まれていることがあるためだ。すると患者は、はっとしたように「いつもガムを持ち歩いてしょっちゅう噛んでいる」と言ってカバンからガムが入ったボトルを取り出した。キシリトール入りのガムだった。同僚が軟便はキシリトールの摂り過ぎの可能性がある旨を説明すると、患者は「自分では気づかなかった。量を守って様子を見てみる」と話していた。

手軽に健康を手に入れたい。ラクしてスリムになりたい――。こんな健康や美容の悩みを、医療機関にかかることなく簡単に自分で解決できたらどんなにいいだろう。

そんな消費者の気持ちに付け込んだ「サプリメント」による健康被害が起きている。

中国製品で3人死亡を含む425人に健康被害

2000~2006年頃にかけて、中国製のダイエット用サプリメントと健康食品による健康被害が続出した。健康被害事例の半数以上の原因となったのは体重増加抑制作用を有するN−ニトロソフェンフルラミン等を含む3製品のカプセル状のサプリメントだ。3製品による健康被害は425人におよび、東京都、岩手県、埼玉県で各1人、合計3人が肝機能に障害を受ける健康被害により死に至った。

被害はこれだけにとどまらなかった。健康被害を起こした中国製のダイエットサプリメントと健康食品は上記3製品を含め数十製品にのぼった。2006年7月には死者は4名に、健康被害を受けた人の数は796名にまで膨れ上がり、中国当局によって保健食品の許可の取り消しを受けたり、違反製品と公表されたりした商品も出た。

いずれも正常なサプリメントではなく、“サプリメントもどき”、正確には「無承認無許可医薬品」による健康被害だった。

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