球場「ビール売り子」たちの可憐でアツい戦い 東京Dで展開中、サントリーのペナントレース

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東京ドームで販売するサントリービールの売り子たち(筆者撮影)

野球場で飲むビールはなぜ、こんなに美味いのか。それは長年の謎だった。

筆者は最近、プレスパスをもらって球場に入る機会が増えたが、お金を払ってお客さんとして球場に行く方が断然好きだ。プレスパスをぶら下げてはビールが飲めないからだ。今記事と次回、2回にわたって「野球場のビールはなぜ美味いのか」を考える。

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午後4時。東京ドームのバックヤードには、華やかなユニフォームを身にまとった女性たちが集まっていた。

彼女たちは鏡に向かって手際よくメイクを整えると、次々とバックヤードの通路に腰を下ろした。サントリー製品の売り子たちだ。

仲間と明るく笑顔で話すさまは華やかではあるが、どことなく緊張感も漂っている。

「みなさん、お疲れ様です!」

担当者の話が始まると、彼女たちが一斉に顔を上げた。花が咲いたようだ。

「今日はソフトバンクさんの主催試合です。4万5千人、ほぼ満員が見込まれています。お客様が多いので、階段の上り下りなど十分に注意してください。また、観戦障害にならないよう、販売のときにも注意してください。本日は団体のお客様も多いので、領収証の準備を忘れないように。ペンも用意してください」

てきぱきとした指示があって、彼女たちは最後の準備に取りかかった。

体力的にも、精神的にも生半可な気持ちでは務まらない

「東京ドームの飲料の販売構成比は、店売り30%、売り子70%というところでしょうか。やはり飲食販売の花形はビールです。客席での販売は、お客様との距離も近いので、お客様と売り子さんの『安心と安全』には細心の注意を払っています」と株式会社東京ドーム飲食&物販部の販売担当者は話す。

「サントリーの場内売り子は、ビールが30名、チューハイが7名、角ハイ13名、ウィスキーが5名という体制です。何といってもビールの売り子がいちばん人気ですが、体力も経験も必要なので、腕のいい子をビールに回します。初心者はチューハイ、角ハイなどから始めて、ビールへとシフトするんです。

ビールを注ぐにも技術が必要だ(筆者撮影)

給料は固定給+歩合制です。売り子の実働時間は3時間程度ですが、売る子は一晩で300杯くらい売りますから、フルタイムのバイトより収入はいいのではないでしょうか。

サントリーでは、毎年ビールの売り子を募集しますが、1000人くらいの応募があります。その中から20~30人が最終的に採用されます」

と、サントリーコーポレートビジネス株式会社 開発営業部の小澤憲司専任部長は話す。東京ドームのサントリーの売り子の窓口だ。

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