すでに「夏の上昇相場」が始まっている? 米国の「一人勝ち」は日本株上昇につながる

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「米中貿易戦争」は米国の勝利に終わり、夏の株式市場も上昇へ向かうと筆者は読む(写真:ロイター)

2000億ドル相当の「トランプ再報復」で見えたこと

前回の本欄で「7月6日はいよいよ米中貿易戦争第1弾が発射される日だが、投資家の体勢はすでに固まっているはずだ。余裕を持って辛抱していよう」と書いた。

そして予定通り6日(金)340億ドル追加関税は発動され、直ちに同額の中国からの報復関税も発表されたが、市場は「織り込み済み」として売り材料にはならず、逆に第1弾の買い戻しのきっかけとなった。結局、5日の日経平均2万1500円割れが底になった。まだ残りの160億ドルがあるにしても、しばらく「あく抜け相場」があるだろうと、筆者はにんまりしたものだ。

しかし、舌の根も乾かぬ11日に、アメリカのトランプ政権は2000億ドル相当の対中関税リストを公表した。筆者としては思わず「早いよ!」と叫びそうになったが、当日の日経平均は、オプションSQ算出日(13日、SQは特別清算値)の週の水曜日という波乱になり易い日と重なったこともあり、一時452円安となる場面もあったが、結局引けは252円安だった。

その日のNYダウも結局は219ドル安。日米双方の「200ポイント程度の下げ」が、2000億ドルのトランプ政権再報復措置に対する市場の反応だったと言える。予想よりは早く出て人々を驚かせたものの、下げは限定的だった。

このような楽観的な反応は、米中貿易不均衡が4倍ほどにも達する中での報復合戦は、もともと中国から見れば「米国へ報復すべき関税額(輸入額)」が圧倒的に不足しており、「勝負にならない」ことにもよる。実際340億ドルの時はすぐさま反応した中国の対応が、今回の2000億ドルでは極めて鈍い。

実際、中国の取るべき道は限られている。そのことを証明したのが、先週末13日のファーストリテイリング(ファストリ)と安川電機の株価の動きだ。

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