新宿「歌舞伎町」は2大私鉄の開発で変わるか 東急は新ビル建設、西武は駅リニューアル

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雨の平日も歌舞伎町は多くの人で賑わう。夜になるとさまざまな店舗が出す看板が目にまぶしい(筆者撮影)

新宿・歌舞伎町は日本を代表する繁華街のひとつだ。現在、ここで西武鉄道(西武)と東急電鉄(東急)という2つの大手私鉄グループが、施設のリニューアルや建て替えを計画している。そこで、歌舞伎町のまちの特徴と計画から、今後のまちの姿がどう変わるかを考えたい。

「道義的」な繁華街として計画

新宿駅東口から北に250メートルほど歩いたところにある歌舞伎町。国内はもちろん、外国人にもよく知られる歓楽街だ。一方で性風俗店舗や建ち並ぶ雑居ビルがつくりだす景観の猥雑さ、しつこいキャッチやヤクザの存在といったイメージから、治安が悪いという印象がどうしてもつきまとう。

しかし、歌舞伎町はもともと健全な歓楽街を志向して作られたまちだということはご存じだろうか。

第二次世界大戦前、歌舞伎町近辺は新宿の外れで、どちらかというと貧しい人が暮らしている地域だった。いまの西武新宿駅付近にはスラムもあったという。それが1945年の空襲で焼け野原になり、そのまま終戦を迎える。そのとき、この地域で最も多くの土地を借りていた食料品製造業者の鈴木喜兵衛が、ここを賑やかな街にしようと立ち上がった。

鈴木は、東は現在の区役所通り、西は現在の西武新宿駅、北は現在の新宿東宝ビル(ゴジラヘッドのあるビル)、南は靖国通りに囲まれた一帯を「道義的繁華街」とする計画を立てた。「道義的繁華街」とは、映画館や演芸場、ダンスホールなどを中心にしたまちづくりで人を呼び、周辺の商店も潤う健康的で文化的な賑やかなまちにしようというものだ。

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