あの「グラミン銀行」が日本を救う日は来るか

日本展開における期待と課題

グラミン銀行設立者のムハマド・ユヌス博士。グラミンのビジネスモデルは日本の貧困者救済にも有効か(写真:Ben Hider/Getty Images)

バングラデシュのムハマド・ユヌス博士が発案した、グラミン銀行。この銀行のマイクロファイナンス(小規模金融)が評価され、ユヌス博士はノーベル平和賞を受賞しているので、名前ぐらいは聞いたことがある人もいるだろう。マイクロファイナンスとは貧困者に無担保の少額融資を行うことで、融資を受ける側はこれを元手にビジネスを始められる仕組み。これによって、バングラデシュでは多くの女性が貧困から救われた。

そのグラミン銀行が日本に「進出」する。2017年8月に一般社団法人グラミン日本準備機構が組成された。2018年夏をメドに貸金業法の特例を活用し、銀行ではなく貸金業者として事業をスタートさせる予定だ。事業資金は篤志家からの寄付やクラウドファンディングなどで集められている。直近では2018年3月から5月末までの約3カ月の間に、1000万円の事業資金を募集し、281人の投資家から1038万円を調達した。

日本は隠れ貧困大国である

なぜグラミン銀行が日本に上陸するのか。それは、日本が徐々に「貧困大国」へと歩んでいるからだ。厚生労働省の「生活保護の被保護者調査」(2018年3月)によると、日本における生活保護世帯は163万世帯で、211万人に上る。

貧困率も諸外国に比べて高く、2015年のデータでは相対的貧困率は15.6%、子どもの貧困率は13.9%(子どもの7人に1人は貧困状態にある)であるとされている。ワーキングプアという言葉もあるように、働いていても大した稼ぎにならない人もたくさんいる。年収120万円未満の相対的貧困も社会問題となっている。

これほど多くの人が「貧困層・低所得者層」定義されているにもかかわらず、日本には、貧困問題を解決する抜本的な仕組みはないのが現状だ。貧困は自己責任であるという考えも聞こえてくるが、貧困によって子どもに教育が行き届かず、貧困が引き継がれ再生産されてしまうことが問題となっている。

最近は親の収入と学歴の相関関係が指摘されている。実際、高学歴になるためにはそれなりの教育投資が必要で、教育資金を準備できるのは所得の高い層に限られている。一度貧困に陥ってしまうとそこから抜け出す仕組みがなく、抜け出せないと貧困状況が後の世代に引き継がれてしまうのだが、それを救済する仕組みがないわけである。

生活保護は要保護世帯と認定された人に対して生活費を給付する仕組みで、受給者に就労するような働きかけはするものの、成果が出たという話は聞こえてこない。

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