「着替えに4時間」若年性認知症の大変な実態

51歳で診断された女性が実情を語るワケ

全国で講演している山田真由美さん。「認知症を告白することで生活が楽になった」と話す=5月、愛知県名古屋市(写真:福井新聞)

「今年の年賀状は誰が書いたの?」。40代後半のとき、友達に聞かれた。宛名の筆跡が違っていた、というのがその理由だった。山田真由美さん(58)=愛知県名古屋市=は「漢字が書きづらく、計算も間違うようになっていた。玄関の鍵をかける(鍵穴に通す)ことさえ難しくなった」と振り返る。51歳でアルツハイマー型認知症と診断された。シングルマザーで先が見通せず、毎日泣いた。

認知症といっても症状はさまざま。山田さんの場合、記憶障害ではなく、空間認知機能障害だ。今では文字を書くこともできないが、文字を忘れたわけではなく、力を加減してペンを動かすことができないということ。ペットボトルのふたを開けることや、バッグからハンカチを取り出すことも難しい。「靴下も下着もうまくはけないから、一人で着替えると4時間はかかる。結局あきらめちゃう」

診断された当初は、親しい友人以外には、病気を隠していた。ごみを出すとき、認知症の薬の名前が書かれたものは、他人に見られないように、ごみ袋の下に押し込んだ。

打ち明けたら楽になった

人間ドックに行ったとき、病院のスタッフに、認知症であることを知らせ、支援をお願いしてみた。「そしたらすごい楽なの。着替えも、ロッカーの鍵も全部楽なの」。これをきっかけに、自宅マンションの住民や、近くのスーパーの店員にも打ち明けた。

エントランスの鍵をかけるのに困っていると、住民がやってくれる。スーパーの袋詰めは店員がやってくれる。子どもに傘を差すのを手伝ってもらったこともある。「打ち明けて本当に良かった。打ち明けてなかったら、ひきこもるしかなかった」

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