探偵の浮気調査「バレる」「バレない」の境界線

推理作家が現役探偵にその裏側を聞く

辻堂:というと?

浅見:今は「1時間1名6千円で、3名つけると1万8千円の調査料になります」という形なんですが、当時は「1稼働8時間で30万円の調査料」という考え方だったんです。調査時間が1時間でも8時間でも30万円。なので、例えば一介の主婦が浮気調査を頼もうと思ったときに、1日頼んだだけで30万円。3日、4日続けるともう100万円オーバーっていうのが当たり前でした。それはさすがに払えないというお客さんを僕らは狙っていくことにしたんです。

辻堂:ちょっと調査をしてほしいという人もいらっしゃるわけですもんね。

浅見:SNSも流行ったタイミングだったので、そこで一気に支店展開も出来ました。なので、僕が探偵を始めたきっかけというのは、ITの視点です。

辻堂:アニメや小説で憧れて、とかじゃないんですね(笑)。

探究心と根性がある人は探偵の素質あり

浅見:でも、調査員のなかには、色々な探偵系の小説を読んで憧れて探偵になったという人も多いですよ。

(写真:幻冬舎plus)

辻堂:やっぱり! じゃあやっぱり日菜子は探偵になれるかもしれないですね。

浅見:うちに応募してくる人は2タイプに分かれるんですよ。一つは何をやっても中途半端で長続きせず職をころころ変えるような人たち。探偵ってなんかかっこよさそう、合コンで「探偵です」って言ったらモテそう、みたいな気持ちで入ってくる。

もう一つは一流企業に行ってなきゃおかしいような人材。でも凄く性格が変わってる。個性豊かですね。

辻堂:面白い(笑)。

浅見:で、前者は仕事が辛くてすぐに挫折するんですよ。

辻堂:具体的にはどういう点が辛いんですか?

浅見:1回の調査の流れでスタンダードなのは、浮気調査です。奥様が旦那さんの浮気調査を頼みますって言った時に、例えば会社の定時、17時ぐらいから調査を開始して、旦那さんの会社にずっと張り込みます。旦那さんが出てきて、女性と合流、ご飯を食べてお店を出て、近くのホテルに移動します。そして休憩して出てくるまでの流れをずっと追って、撮ってくるんですね。この中で一番重要なのは、ホテルの「入りと出」なんですよ。ここを撮るためにずっと見ていなきゃいけないんです。

辻堂:週刊誌の張り込みみたいなイメージです。

浅見:そうですね。ただ週刊誌だと、食事してデートしてる写真だけでも一つの成果にはなりますよね。けれど、僕らの場合はそれって別に不貞の証拠じゃないので、何も成果にならないんですよ。

辻堂:ホテルに行ってくれないと「不貞」とは言えないと……!

浅見:そう。あと、調査時間というのもなかなか大変で。定時である17時から会社の前で張り込みをスタートしても、いつ出てくるか分からない。例えば19時に出てきたとしても、その時点で2時間ずっと張り込んでるんですね。さらにそこから飲食店へ移動して食事するとなると、また2時間くらい張り込みですよね。

辻堂:はい。

浅見:それからお店を出て、近場のホテルに行きます。ホテルに入ってからも休憩なのか泊まりなのか分からないから、延々と出入り口を見ていなくちゃいけない。22時に入って出てきたのが翌朝10時だったら、12時間立ちっぱなし、カメラ構えっぱなしってことはザラです。

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