「都会と別府」2拠点暮らしをする人のリアル

「公私のバランス」はこうやって建て直す

「今は別府を拠点としてNYには2カ月、そのほか不定期で東南アジアや東京へとあちこち行ってますが、別府以外の滞在は友人宅やAirbnb、ゲストハウスなど。移動はLCCを使えば生活コストは私の場合はそこまで甚大ではないです。別府は共同浴場が月1000円前後で利用でき、湧き水を汲む場所もあるので光熱費が安い。

二拠点居住者を中心とした交流会。別府では定期的に移住者交流会が開催されお互いの情報交換の場になっている(写真撮影/フルカワカイ)

また飲食も観光地価格ではなく住民価格で利用できるお店がたくさんあるので他の温泉地よりも単価が安く済むんじゃないでしょうか。私は、人生において“後悔しないほう”と“どうなるか分からないほう”を選択する、ということだけは心がけてきました。30代後半での移住はもちろん不安になることもありましたが、もともと場所によってルールは違うもの、失敗はつきものと思えば、意外とあとから楽しめることが自然とついてきます」

そう語るヤノさんは今後、裁縫ワークショップを通じて知り合った地元の人たちとチームとなり、国内外で依頼された仕事を回していき、大分の雇用創出をしていくことが目標とのこと。消費されないものづくりの楽しさを大分に根付かせていきたい。そんな思いで今後はNYだけにとどまらずタイや発展途上国にも目を向け活動をスタートさせている。

東京&別府。自分の仕事の価値を見直す生活スタイル

別府駅前にある老舗映画館「別府ブルーバード劇場」で働く森田真帆(もりた・まほ)さん(37歳)は、東京では映画ライター、別府では映画の番組編成を担当している。居住場所により職業も変えている、珍しいパターンでの勤務だ。また私生活ではシングルマザーとして17歳の子とともに実家で暮らしつつ、別府との二拠点居住を実現させている。

森田さんは映画ライターのかたわら、映画館の上映番組の企画編成、およびイベント企画立案で映画監督や俳優陣のキャスティング、当日の司会進行、アテンドまで行っている(写真撮影/フルカワカイ)

もともと東京の杉並区出身の森田さん。現在は自分で企画した映画イベントごとに別府を行き来。大体1カ月に1週間位の滞在だが、多いときは月の半分は別府で過ごしている。別府はもとより九州にも地縁がないなかでこの生活を選んだのは、何より映画館の「ブルーバード」に心底惚れ込んだからだ。

大学時代から映画業界に興味をもち、大学を中退してハリウッドへ留学。現地で出会ったアメリカ人との間に子どもを授かり帰国。アメリカ在住時その当時から映画コラムを担当していた会社の編集部に就職。シングルマザーとして、子育てに毎日追われながら、海外の映画祭取材や、俳優、監督のインタビュー記事を書く日々が続いた。あまりに忙しい生活が続き、世界がだんだんとモノクロと化していくことを感じた森田さん。体調を崩し、失意の中にいたときに別府在住の親友に会いに行ったのが居住のきっかけとなった。

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