たった1年で大手銀行を見放した24歳の真意 ワークライフにおける最大のリスクを考える

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たった10カ月で、大手金融機関における日本の古い体質をはっきりと見てしまった彼女が下した決断(写真:Fast&Slow/PIXTA)

4月に社会人2年目となった水谷美香さん(仮名、24歳)。大学を卒業して大手金融機関に入社し、本社営業部において大手電機メーカーを担当する部署に配属となりました。彼女が配属された部署は新人にとってはいわゆる花形部署。入社1年目であっても海外の大型案件を扱う仕事のサポートをしていたといいます。

入社1年目の新入社員が見た大手金融機関の現実

ところが彼女は入社1年がまもなく経過するという2月に、ベンチャー企業に転職することを決意しました。私は立教大学ビジネススクールの教授として、たくさんの学生を見てきましたが、とても辞める理由が見つかりません。会社にとっても重要な部署に配属され、大きな仕事を任されていたにもかかわらず、なぜ彼女は仕事を辞めたのでしょうか?

彼女が辞めた理由は、大きく分けて2つあります。1つ目は「このまま会社に残っても仕方がない。将来がイメージできない」ということ。2つ目は「自分がミッションと思うことに懸けてみたい」ということです。「残っても仕方がない」という彼女の言葉に、私もかなりショックを受けました。でも、彼女の話をよく聞いてみると、その意味がよくわかりました。

実は私も教職に身を転じる前に金融業界で働いていたことがあり、それなりに内情について知っている人間です。もちろん、昔と比べれば働き方で進化した部分がいろいろとあるのは確実ですが、実際に彼女に話を聞いてみたところ、どうやらこの職場では数十年前と同じ価値観、やり方で、今も同じような仕事をしている部分が残っているようなのです。

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