あなたが知らない「北朝鮮に暮らす人」の素顔

訪ね続けたNGO職員と映画監督が語る

2012年に初めて開催した平壌外国語大学と日本の大学生の交流の様子 ©︎日本国際ボランティアセンター
メディアからはなかなか見えてこない北朝鮮で暮らす人々を描いた映画『ワンダーランド北朝鮮』が、2018年6月30日から全国順次ロードショーされます。
■『ワンダーランド北朝鮮』映画概要
(北朝鮮の“普通”の暮らしとその人々。これはプロパガンダか? それとも現実か? 人々の幸せそうな表情に、自然エネルギーを活用した循環型な暮らし。北朝鮮の予想外のリアルを発見するドキュメンタリー。
世界から隔離された国、北朝鮮に良いイメージを持っている人は少数派だろう。北朝鮮のイメージは大概、独裁国家で、核開発を行う危ない国といったところだろう。しかし、それが本当に北朝鮮の姿なのだろうか? 韓国出身のチョ・ソンヒョン監督は、この問いの答えを探しに北朝鮮で映画制作を行うため韓国籍を放棄し、ドイツのパスポートで北朝鮮に入国。そして、エンジニア、兵士、農家、画家、工場労働者など“普通の人々”への取材を敢行した。
北朝鮮で制作するすべての映画は検閲を逃れられない。しかし、自由に取材活動ができない制約下でも“同胞”として受け入れられたチョ監督は、最高指導者への特別な感情を抱く普段着の表情の人々と交流し、意外と普通だが、予想外の北朝鮮の素顔を発見していく。
公務員画家の男性は、美しい女性を描くことを楽しみ、表情は明るい。デザイナーという言葉を知らない縫製工場で働く少女の夢は、“今までにない独創的な服を作る”こと。こんな“普通”の人々が登場する。また、経済制裁下にある北朝鮮の人々の暮らしぶりは慎ましいが、どこか懐かしさを感じさせる。経済制裁を受け、自活せざるをえない必要性から、自然エネルギーを活用する人々の暮らしが循環型であることは驚くべき事実である。あなたの知らないもう一つの北朝鮮の姿が明らかになる)
監督は、北朝鮮に入るために韓国籍を捨て、ドイツ国籍を取得したチョ・ソンヒョンさん。日本での公開を前に、チョ監督が来日し、北朝鮮の子ども・若者との交流事業を20年近く続けている日本のNGO「日本国際ボランティアセンタ―(JVC)」のコリア事業担当・宮西有紀さんとともに、5月13日「JICA地球ひろば」にて『ワンダーランド北朝鮮』映画監督来日講演とJVCコリア活動報告(UNITED PEOPEL主催)を行いました。
2018年4月27日に11年ぶりとなる南北首脳会談が開催され、さらに6月12日開催となる米朝首脳会談についても日々報道される中、メディアから見えてくる北朝鮮の姿をそのまま鵜呑みにしてもいいのかと疑心暗鬼を抱えている方も少なくはないかもしれません。そんな中、お2人の話から見えてきたのは、「北朝鮮の素顔」でした。今回の特集記事では、何度も訪朝し北朝鮮に暮らす人々と実際に交流をしたお2人から見る北朝鮮の姿をお届けします。

「往来ができる限り行って直接会おう」

JVC宮西有紀さん:JVCは、インドシナ難民の救援を機に1980年にタイで発足した日本のNGOで、今年(2018年)で設立39年目になります。JVCのコリア事業の1つが、「南北コリアと日本のともだち展」という活動です。これは、日本と朝鮮半島に住む子どもたちを、絵とメッセージでつなぐ絵画展です。日本とは国交がなく、実は今も朝鮮戦争は休戦中で戦争が続いているという状況です。そういう状況の中で、私たち日本人が住んでいるこの東北アジアで、「相手を知ることから平和をつくっていく」という、平和づくりの活動です。「南北コリアと日本のともだち展」は実行委員会形式でやっており、JVCを含め全部で9団体が参加しています。

本記事はGARDEN Journalism(運営会社:株式会社GARDEN)の提供記事です

北朝鮮での活動のきっかけは緊急支援でした。1995年に朝鮮で起きた洪水被害に際して人道支援に取り組んだNGO、在日コリアンの団体が中心に集まりました。支援では伝わらない、日本と朝鮮の「人と人」の顔をつなぎたいという思いで私たちはこの活動を始めました。今もそうなのですが、日本では北朝鮮の現地の子どもたちのことを知る機会がなかなかありません。ですから、そういった子どもたちの姿を日本でも伝えたいということから、北朝鮮の子どもたちの絵を日本に持ち帰って展示会を開催し、同時に日本からも子どもたちの絵を北朝鮮へ持参して紹介するようになりました。

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