「2019年夏までアベノミクス株高」説は本当か 太陽の黒点と景気循環の波はほぼ一致する?

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2012年末に自民党は衆院選で大勝した。株価の上昇の起点を同年夏とすると、2019年まで株高は続く?(撮影:尾形文繁)

いよいよ6月14日(木)からサッカーのワールドカップが始まる。その直前、サッカー強豪国であるイタリア政治が迷走中だ。そもそも同国は予選で敗退してサッカーも迷走気味なのかもしれないが、6月になってようやく連立政権が発足。金融市場からのイエローカードはいったん逃れたようだ。日本も含め世界の市場は一瞬振り回された。一方、日米の景気や株価を振り返ると、サイクル面から中長期な山場が浮かんでくる。足元のテクニカルポイントも押さえ、当面の見通しを探ってみた。

景気と太陽の黒点は、およそ10年サイクル?

やや唐突だが、古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスは「歴史は相似した時期が循環する」と唱えた。また1860年代、仏国の経済学者であるJ.ジュグラーは企業の設備投資循環におよそ10年周期の景気変動があることを指摘した(ジュグラーサイクル)。

さらに1870年代には英国の経済学者W.ジェヴォンズが10~11年周期の太陽黒点説を提唱した。長期間でこの黒点の増減を追うと、景気変動との相関がうかがえるというわけだ。地球の気温や降雨量に影響を与え、穀物の豊作や凶作につながり、黒点数が多いと好景気、少ないと不景気となりやすい。2008年の米金融危機(リーマンショック)の前年あたりから太陽黒点が観測されない日が増えていたのは、有名な話だ。

戦後の米景気において、最長の拡大局面は10年(1991年4月~2001年3月)だ。その後は、ITバブル崩壊や米企業の不正会計等を機に景気後退入りした。足元の景気拡大は2009年7月を起点に、戦後2番目の長さとなる9年目だ。このまま行けば、いよいよ10年目に突入する。

仮に最長10年の景気拡大が続くのなら、2019年夏までとなる。しかし、戦後の拡大局面は平均5年程度である。足元では年4回の米利上げペースを織り込み、米国株は高値圏が続いているが、過去のサイクル面からみると過度な楽観も禁物かもしれない。

次ページでは日本はどうなのか?
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