スルガ銀行は、一体どこで道を間違えたのか ずさん融資で異形の高収益銀行が暗転

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5月15日、静岡県沼津市内で会見。米山明広社長(中央)は書類改ざんなどにつき「相当数の社員が認識していた可能性がある」と認めた(記者撮影)
本記事は週刊東洋経済5月28日発売号(6月2日号)特集「銀行員の不安」の「異形のスルガ銀行、ずさん融資で暗転」から一部を転載したものです。

スルガ銀行が岐路に立たされている。女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズが破綻し、投資資金を貸したスルガ銀行の業績を直撃。融資が焦げ付くリスクが高まったため、6期連続の最高益更新を見込んでいた2018年3月期の連結純利益は210億円と、前期の半分以下に沈んだのだ。

通帳改ざん、二重契約書・・・

5月15日には米山明広社長が静岡県沼津市内で会見し、関連融資に関する内部調査の概要を発表した。融資残高はスマートデイズ以外も含めて1258人分、2035億円にも上り、審査を通りやすくするための通帳改ざんや、過剰融資を引き出すために売買代金を水増しした二重契約書が作られていた事実が明らかになった。

『週刊東洋経済』5月28日発売号(6月2日号)の特集は「銀行員の不安」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

米山社長はこれらについて、「相当数の社員が認識していた可能性がある」「連続増収増益がプレッシャーに変わり、審査より営業が強くなってしまった」と認めた。営業部門の幹部が審査担当者を恫喝する例もあったという。

だが「誰が不正を主導したか」「役員の関与があったのか」という核心部分にかかる事実認定は、すべて第三者委員会の調査に委ねられた。4月から立ち入り検査に入っている金融庁も、第三者委員会の調査を踏まえながら処分を判断する。調査結果の公表には2〜3カ月かかるもようだ。

約200人のオーナーから相談を受けている「スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団」はこれとは別に5月22日、販売会社とスルガ銀行の担当者を刑事告発した。金融庁以外の当局も動かして実態解明を進めながら、融資契約の白紙撤回を迫る構えだ。

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