エアレース室屋選手、千葉戦への期待と重圧 母国開催の凱旋レースで3連覇なるか

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5月上旬、練習拠点のふくしまスカイパークで意気込みを語った室屋義秀選手(筆者撮影)

「去年は世界王者となったことで、千葉3連覇の期待がかかり、多くの注目をいただいています。レースまでの時間を無駄にしないように臨んでいきます。いつも通り、やるだけですね。」

練習拠点であるふくしまスカイパークで45歳の室屋義秀選手は、大会前の心境をこう語っていた。

「空のF1」とも言われる究極の3次元モータースポーツ、「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」のシーズン第3戦が5月26日(土)、27日(日)に千葉県立幕張海浜公園で開催される。これまで開催した過去3大会合計で述べ30万人もの観客を動員し、世界各地で行われているレッドブル・エアレースの中でも最大規模を誇っている。

2017年の千葉大会の様子。たくさんの観客が室屋のフライトに熱狂した(写真:Armin Walcher / Red Bull Content Pool)

昨年の2017年シーズンは、アジア人唯一のパイロットである室屋が世界王者に輝いたこともあり、「室屋選手のフライトを再び日本で目にしたい」というたくさんの声の後押しもあってか、今年の開催も決定した。

エアレースは専用のレース機が設置されたパイロン(エアゲート)の間をぬうようにコース(今回は幕張の海上)を飛行し、1000分の1秒のタイムを競う競技だ。最高時速は370kmに達し、世界屈指の飛行技術を持つ14人のパイロットが各地を転戦する。

2015年に千葉大会が初開催

今から3年前、エアレースが日本で初めて開催されることもあり、室屋は日本中から注目を浴び、予選を9位で終えた。決勝のラウンド・オブ・8でポール・ボノム(イギリス)と対戦すると、オーバーG(荷重が10Gを超えたため違反)となり、敗退した。残念な結果となったが、日本初のエアレースに出場した室屋の健闘ぶりに、会場中から大歓声が沸いた。室屋は千葉大会を無事に終えたことに安堵していた。

2009年からエアレースに参戦してきた室屋がキャリア初優勝を果たしたのは、2度目の母国開催となった2016年の千葉だった。

大会開催直前に台風が直撃した影響で予選が中止、決勝ラウンドから開催された。ラウンド・オブ・14の組み合わせは、それまでの獲得ポイントにより決められ、室屋の対戦相手はピート・マクロード(カナダ)となった。

レース開始早々、機体からスモークが出ていないためにペナルティを受けてしまい、敗戦が濃厚となった。だが、マクロードがまさかのオーバーGで敗退となり、室屋のラウンド・オブ・8への進出が決まった。

ラウンド・オブ・8では、開幕から好調のマティアス・ドルダラー(ドイツ)と対決した。先行の室屋は自身最速のタイムを記録した。ドルダラーは室屋に勝とうと攻撃的なフライトを敢行するとオーバーGとなり、室屋の勝利となった。

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