星野氏が「ビジネス客を忘れる」と語る理由 新ブランド「OMO」は従来とは違う立地で戦う

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開業記念パーティの参加者にも配布した「OMOメガネ」を身に着けた星野佳路・星野リゾートグループ代表。「OMO7 旭川」の開業会見の翌日、そのまま近くの旭岳へスキーに向かった(記者撮影)

ホテル業界にとって、一番儲かるのは人手や材料費がかかるレストランでも宴会でもなく、客室(宿泊部門)だ。そのため担当者は毎日、客室の価格を細かく調整することで、客数を増やし、単価を確保することに必死になっている。

それなのに、星野リゾートグループ代表の星野佳路氏は「ビジネス客を1度忘れることにしました」と、あっさり話す。国内の宿泊旅行のうち2割弱を占める出張需要をいったん脇に置くというのだ。

新ブランドで2棟を同時期に開業

星野リゾートが今まで得意としてきた地方のリゾートを離れ、都市部への開業攻勢をかけている。

5月9日に開業した「OMO5 大塚」(豊島区)は、いわゆる宿泊特化型ホテルに近い作りだ(記者撮影)

2016年7月には東京大手町で「星のや 東京」を開業。そして、今回は新ブランド「OMO」(おも)を開発し、4月29日に北海道で「OMO7 旭川」を、5月9日は東京都豊島区で「OMO5 大塚」をそれぞれ開業した。

OMOのブランドコンセプトは「旅のテンションを上げる都市観光ホテル」。両施設の開業会見を通じて星野氏が強調したのは、これまでビジネスホテルに泊まっていた、観光客をターゲットにしたホテルだという点だ。

これまでも業界にはビジネスホテルよりは客室が広く、ゆったり感のある観光客向けのホテルは複数ある。

だが、「彼らはビジネス客を忘れられていない。忘れようとしてもできなかった」(星野氏)。星野リゾート流の施設運用やサービスを提供し、差別化を図る狙いだ。

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