今回は160億円「生活保護費の減額」は妥当か

下位10%の所得層に合わせる手法への疑問

6年前から生活保護を受ける男性。1日2食にするなど生活を切り詰めているが蓄えはほとんどない(写真:福井新聞/4月、福井県福井市)

「おカネに余裕があれば大きい浴場で思いっきり風呂につかりたい」。生活保護を受けている福井県福井市の独身男性(69)は「風呂も食べたいもんも我慢する毎日」を送る。国は本年度、生活保護費のうち食費や光熱費などに充てる「生活扶助費」を最大5%引き下げることを決めた。2004年の老齢加算廃止に始まり、減り続ける生活保護。支援者らは、憲法に明記される「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されているとはいえないと訴えている。

「明日から来なくていいから」。6年前、男性はアルバイトとして働いていたホームセンターから突然告げられた。高齢に加え、体調も崩しがちなため再就職もままならず、福井市に相談し生活保護を申請。軽乗用車を手放し、家賃5万5000円から2万円余り安いアパートに移った。

現在の生活扶助費は月約7万円。食事は昼晩の2回でお茶漬けやパンが多いという。68キロあった体重は51キロまで落ちた。「ガス代がきつい」ため湯船につかって入浴するのは月1回。後は3日に1回のシャワーで済ませる。

数千円の支給額の引き下げは深刻なダメージ

唯一の嗜好品であるたばこをやめられないこともあるが、貯蓄は簡単ではないという。2年ごとのアパート更新時、不動産業者と保証人に支払う計3万5000円のために月千円ずつためるのがやっとだ。仮に支給額が数千円でも引き下げられれば、生活は深刻なダメージを受ける。

県地域福祉課によると県内の生活保護受給世帯は、2007年度の1862世帯、2323人から2016年度は3336世帯、4170人に増加。県内でも貧困化が進んでいるとみられ、2016年度は県全体の支給額が約66億円に上った。

生活扶助費の見直しは5年に1度。算定には「水準均衡方式」が使われ、今回は全国で受給世帯の67%が減額対象になる。母子世帯などで増額のケースはあるが、65歳以上の単身世帯では減額対象が76%に上る。

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