早大卒のプロ棋士が語る「大学に通った意義」

中村太地はどうやって学業と両立させたか

昨年、王座のタイトルを獲得した中村太地氏に聞く(撮影:梅谷 秀司)
今や空前の将棋ブームである。羽生善治永世七冠や15歳の藤井聡太六段と並ぶ、主役の1人が昨年王座のタイトルを獲得した中村太地氏だ。早稲田実業学校中等部・高等部を経て早稲田大学政治経済学部を卒業した経歴を持つ。プロ棋士と学業をどう両立させたのか。5月14日発売の週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学2018』からインタビューを抜粋してお届けする。

――中村さんはいつごろからプロ棋士を目指したのでしょうか。

羽生(善治)さんが7冠を達成されたときですね。小学校2、3年かな。プロになるには、まず奨励会という養成機関に入らなくてはいけない。そこを受験して合格はしたのですが、中学や高校通いながらの奨励会生活なので、うまくいくときもあれば、いかないときも……。そもそも親は奨励会入りに反対でした。

プロ棋士になるのは難しい。なれたとしても、勝負の世界なので生活は安定しない。親としては当然否定的になります。でも僕は「やっぱりやりたい」と譲らなかったんで、最後は「そこまでやりたいんだったら応援する」と。そのときの条件が「大学まで行くこと」だったんです。

「もっと強くなりたい、羽生さんみたいになりたい」という一心でした。現実の厳しさはわかっていたつもり。しかし、振り返ってみれば、そうではなかった。全国からえりすぐりの子供たちが集まってくるのが奨励会。そこで上へ上へと上り詰めなけばならない。

将棋以外のことを知るチャンスだと思った

――しかも中学受験する。

僕の場合は奨励会も中学受験も小学6年生のとき。学校と塾に行って、帰ってきたら将棋というサイクルでした。将棋と受験勉強の切り替えが重要で、時間を大事に使っていました。勉強のときは将棋のことは考えない。将棋のときは学校のことはいっさい忘れる。

――早稲田実業を選んだ理由は?

正直言って、中、高、大とつながっているのが大きかった。さすがに大学受験に取り組むのは厳しいと。学校生活は楽しかったです。友達と休み時間に話したりだとか、体育の授業で一緒にスポーツをやったりとか、そういう平凡な学生生活が楽しかった。

将棋のほうは中学卒業のときに三段。まあ昇段は早いほうですね、26歳までに四段になればいいので。三段には2年間いて、高校2年の終わりに四段。そのときは、ようやく自分の職業が決まったような気持ちになりました。世の中から見れば早いのかもしれませんが。

学業と両立できたのは、自分が何をやりたいか、何を目指しているかというのをつねに意識していたからだと思っています。

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