かつて同僚に裏切られた私が見た組織の実際 組織を「性善説」で捉えるのは楽観的すぎる

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いついかなるときも、平和慣れは危険です(写真:fotografstockholm/iStock)

筆者が会社勤めをしていた頃のこと。今でも思い出す、悲しい記憶があります。それは会議の場で、同僚が筆者に対して行った「攻撃」。

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その同僚とは普段から仲が良く、仕事に対する考え方も似通っていると親近感を感じていました。あるとき、筆者とその同僚が経営会議に呼ばれ、意見をするよう求められました。おそらく、若手幹部層の品定めのような目的もあったような気がします。

既存の事業を撤退すべきか否か?を問われたのですが、同僚は筆者の意見(撤退に反対)を徹底的に攻撃してきました。ちなみに筆者は、この件に関しては2人の意見は同じであると認識していました。ところが、経営会議ではその反対の方向(撤退に賛成)でまとまりかけていたので、それに追従して、突然、立場を180度変えたのです。「いつも言っていることと違う!」と叫びたくなりましたが、それ以上に衝撃的だったのは、

「現状維持に固執するような発想では、リーダーとしては時代遅れになりますよ」

と、筆者を否定するような発言を仕掛けてきたのです。

その攻撃は過失か、意図的か

その後も会議の間じゅう、攻撃は続きました。これまで「思いは同じ」と考えてきたので、フォローされることはあっても、まさか対極の立場に立たれるとは思ってもみませんでした。まさに「味方に後ろから撃たれた心境」になり、会議終了後に打ちひしがれたような気持ちになったことを覚えています。

皆さんは同じように、味方に後ろから撃たれたことはありますか?

軍隊などで「味方に撃たれる、または味方を撃った」という意味で使われるのがFriendly fire。仲間と思った相手から攻撃されること。仲間の過失により誤って起きるものと、意図的に攻撃されるものの2つがあります。

たとえば、2001年の9.11中枢同時テロの後、愛国心に燃えて陸軍の特殊部隊に志願した米プロフットボールのスター選手のケースは前者です。彼は敵との戦闘で死亡したとされていたのですが、実は仲間の過失によって亡くなっていたのです。

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