日経平均株価はGW明けに2万3000円回復も 「最悪のシナリオ」は徐々に回避されつつある

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日本の5月相場はどうなるのか。休日が多いGW中、外国人投資家は仕掛けて来るだろうか(写真:NISH/PIXTA)

日本はゴールデンウィークの真っただ中だ。前週末の日本株は全般的に堅調だったが、今週以降はどうなるだろうか。物色動向を交えながらこれまでを振りかえりつつ、今後について予想してみたい。

振り返ると、2017年は日本企業に強い追い風が吹いた

まず大きく外需系(輸出系)企業と内需系(特に個人消費関連)企業に分けて考えてみよう。昨年来の株価上昇のけん引役は、外需系企業、特に資本財(企業が工場等で生産活動のため用いる機械類など)メーカーであった。具体的には、産業用ロボット、工作機械、建設機械や、それらを支えるセンサーを含む電子部品や、ベアリング等の機械部品を製造する企業群だった。

背景には、世界経済の大きな流れがあった。世界全体の実質経済成長率は、2009年にリーマンショックの影響でマイナスに落ち込んだあと、プラス成長を持続してきた。しかし2016年には、中国経済の減速やそれによる年初からの世界同時株安が世界経済の重石となった。エネルギー価格の下落はロシア、サウジアラビアなどのエネルギー産出国経済への悪影響への懸念を増幅させたほか、同6月にはいわゆる予想外の「ブレグジット」(英国のEU離脱)が欧州経済に混乱をもたらしかねないとの見解などから、成長率は鈍化を見せた。

このため、世界の貿易量の伸びも、プラスながら押し下げられる結果となり、日本からの輸出金額・数量とも、圧迫された。特に設備投資、公共投資、建設投資などの投資額については、先行きの不透明感から企業経営者が投資を大きく控えるなどの動きが広がり、経済成長率全体がプラスを維持したのに対して、投資は2016年に前年比マイナスを記録した。

ところが、2017年に入ると、世界経済は持ち直しを見せ始め、貿易量も伸びを高める展開となった。このため、日本からの輸出については、輸出数量が先行する形で前年比がプラス転換し、続いて円で測った輸出金額が増加に転じた。特に資本財関連については、企業などが2016年に投資を控えすぎたため、その反動増が大きく生じ、日本の資本財メーカーにとって、強い追い風となった。

2017年後半から2018年初の日本株全般の市況上昇のなかで、安川電機、ファナック、キーエンス、THK、コマツなどの銘柄群がけん引役となったのは、こうした世界全体の経済の大きな流れが背景にあったと推察される。

次ページ2018年に入ってからの異変とは、結局何だったのか?
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