リニア時代に新幹線と在来線はどう変わる? JR東海の金子新社長にインタビューで迫る

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今年4月に就任したJR東海の金子慎・新社長。リニア中央新幹線の工事が始まった中、経営の舵取りをどう行っていくのだろうか(撮影:梅谷秀司) 
国鉄分割民営化によりJR東海(東海旅客鉄道)が発足して丸31年の今年4月、金子慎氏が6代目の社長に就任した。直前まで副社長として中央新幹線推進本部を担当、それ以前は総務部長、人事部長、総合企画本部長を務め、同社の経営を知り尽くす。1日に350本もの列車が走る東海道新幹線を運行し、将来のリニア中央新幹線の工事も始まった。日本の大動脈を担うJR東海の舵取りをどのように行っていくのか。4月2日に都内で行われた報道各社のインタビューの模様をまとめた。

新幹線に磨きをかけていく

――昨年で民営化30年を迎えた。来年で平成も終わる。この30年という節目はJR東海にとってどのような位置づけなのか。今後の大動脈はどう変わっていくのか。

3月10日、報道公開されたJR東海の新型新幹線車両「N700S」(撮影:尾形文繁)

昭和39(1964)年に東海道新幹線が開業して、昭和62(1987)年に国鉄が解体された。その23年間は非常に変化の少ない期間だった。0系という車両をずっと使って、新幹線が利益を生み出し、それで国鉄の赤字を補填するという構図だった。だが、新しい私たちの会社になって、新幹線が経営の屋台骨となる構造に大きく変わった。典型的なものが車両のモデルチェンジ。300系、700系、N700系、N700A、そして今度はN700Sと、次々と新しい車両を送り出している。その間に速度も向上した。すべての駅をリニューアルしてきれいにした。

リニア中央新幹線の建設工事が各地で始まっている。JR東海は2017年11月に品川駅での工事を初公開した。品川駅のリニア開業は2027年で、東海道新幹線の地下40メートルを走らせる計画だ(撮影:尾形文繁)

節目を迎えたから一区切りということはない。新幹線の完成度はそうとう高まったが、リニア中央新幹線の完成までまだ約10年あるので、今後も東海道新幹線の競争力を強化するための投資を継続していく。2020年春には700系が引退しすべての列車が時速285kmで走れるようになる。そうするとたいへんよいダイヤが組める。さらなるスピードアップの検討など、ますます磨きをかけていきたい。

――新幹線のサービスは今後どう変わる?

ぜひ推進したいと考えているのがチケットレス化だ。切符の販売は窓口からネットに大きくシフトしている。クレジットカードを登録すれば交通系ICカードで乗れる「スマートEX」というサービスを昨年9月に開始したことで、現在チケットレスの比率が3割ぐらいになった。リニアの開業に向けて、ぜひ主力はネット販売という形にしたい。

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